読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は高山一恵氏がお答えします。


長男19歳(看護専門学生)、次男15歳(高校2年生)、長女14歳(中学2年生)の3人の子どもを持つ、シングルマザーです。終身保険に加入したいのですが、いくらを目安にして加入したらいいのか教えてください。保険金1,000万円で考えています。ほかにも保険加入についてアドバイスがあれば、よろしくお願いします。

〈相談者プロフィール〉
・38歳、未婚、子ども3人
・居住形態:持ち家(マンション)
・収入:手取り収入340万円・養育費年間84万円
・支出:25万円 

高山: ご質問ありがとうございます! シングルマザーで3人のお子さんを育てていらっしゃるとのこと、がんばっていらっしゃると思います。万が一ご自身にもしものことがあったらと思うと、お子さんたちのことが心配ですよね。今回は、もしもの場合に備えるための保険加入についての考え方をお話していきます。

自分にもしものことがあったら……いくら必要になる?

シングルマザーにとって、自分に万が一のことがあったとき、なんといっても心配なのは残された子どもたちの生活でしょう。ですから、最優先で確保しておきたいのは「死亡保障」です。

子どもの進学コースによって必要な保障額も違ってきますが、ひとまず子どもが学校を卒業し、巣立つまでの一定期間は、しっかりと保障を確保しておきましょう。
 
その際、公的保障で不足する金額を民間の生命保険で契約すると、ムダがなく合理的です。公的保障として、まず考えたいのが「遺族年金」です。もし、現時点で相談者さんが死亡した場合、子どもが18歳になるまで遺族基礎年金が支給されます。
 
相談者さんのケースでは、長男が19歳なので、長男の分の遺族基礎年金は受け取れませんが、次男、長女の分が受け取れます。遺族基礎年金の金額は、2人分で100万3,600円(平成30年度)です。ざっくりとですが、月額10万円程度が公的年金として受け取れる概算額と考えられます。

ちなみに、自宅は持ち家とのことなので、もし住宅ローンを支払っている場合は、相談者さんが亡くなったら団信が適用になり、ローンの返済はしなくて済みます。

長男も19歳と自立できる年頃ですから、現時点で相談者さんに万が一のことがあっても、月額20万円程度あれば暮らせそうですね。

ひとまず、末っ子である長女が22歳になるまでの生活費を確保すると考えると、18歳までは月額10万円程度の遺族年金が支給されますから、不足する金額は合計で480万円。遺族基礎年金の支給期間終了後に、月額20万円で生活すると仮定すると、960万円程度が必要になります。合計すると1,440万円ほどになります。このほかに子どもの進学プランによって、学費分を上乗せして保障額を考える必要があります。

死亡保障は、年金形式で受け取れるものがおすすめ

1,000万円以上のまとまった死亡保障を確保する場合、解約返戻金があるタイプの保険だと、保険料がかなり高くなってしまいます。

そこで、安い保険料で大型の保障を確保するには、「掛け捨て型の保険」がおすすめです。中でも、保険金の支払いが、毎月、あるいは毎年、分割して支払われ、時間の経過とともに保険金の保障額が減っていく「収入保障保険」がよいでしょう。
 
特に遺族が子どもの場合、一度にまとまった保険金を受け取っても預け先に悩んでしまったり、無駄遣いをしてしまう可能性があります。その点、毎月お給料のような形で受け取ることができれば、資金計画を立てやすいでしょう。

なお、掛け捨て型の保険で一度にまとまった保険金を受け取れる「定期保険」もありますが、たとえば、教育費など一時期的にかかる金額は定期保険に加入し、日々の生活費は収入保障保険から受け取るなど、併せて活用してもよいでしょう。

病気やケガで働けなくなったときの備えも検討して

また、シングルマザーの場合、1人で家計を担っているので、病気やケガで働けなくなった時に医療費がかさんだり、収入がダウンするのは辛いですよね。かかった医療費は貯蓄などでなんとかカバーできるかもしれませんが、収入ダウンは家計に大打撃です。

会社員の場合は、有給休暇があることに加えて、傷病手当金が支給されるので、それまでのお給料の3分の2は1年半にわたり受け取れます。

ただし、住宅ローンを組んでいる場合、返済は待ったなしです。収入ダウンにより返済が滞れば、せっかく買った家を処分したり、家計破綻に陥ってしまったりする可能性もあります。子どもの学費が払えなくなってしまうのも親としては胸が痛みますね。

そこで活用したいのが、損害保険の「所得保障保険」や生命保険の「就業不能保険」です。これは、病気やケガによる就業不能時に、月額20万円など、契約した給付金が受け取れるもの。

医療保険とは異なり、入院中だけでなく、自宅療養中でも保険給付金が受け取れます。また、医療保険であれば、1入院の限度日数が60日や120日が主流ですが、これらの保険は2年間など長期間にわたり保障されます。こちらの保険も掛け捨て型なので、保険料は安めに設定されています。

自分にもしものことがあったとき、子どものことを思うと、あれもこれもと心配になってしまうかもしれませんが、必要な保障に優先順位をつけるのが重要です。そして、保険に加入する際には、公的保障があること前提に考え、不足分を補うために保険に入るようにしましょう。