はじめに

旬の野菜をおいしく食べる——それだけで、生活はより豊かになります。

野菜の旬がいつなのか、おいしく食べるための賢い選び方や、上手に保存するためのひと手間について、日本野菜ソムリエ協会認定の野菜ソムリエ・岡明理恵さんに教えてもらいました。

今回の野菜は、一見しただけでは食べ頃かどうかが分かりづらい「アボカド」。その見極め方をご紹介します。


年中手に入るアボカドにも実は旬がある

日本に流通するアボカドの90%以上を占めるのはメキシコ産です。

その代表的な品種の「ハス種」は年間通して収穫されますが、旬の時期は5月から7月。この時期のアボカドは油分が豊富で、特にねっとりとした味わいを楽しむことができます。

ちなみに、収穫量はわずかですが、アボカドは日本でも愛媛県や和歌山県といった温暖な地域で栽培されています。国産のアボカドは11月から12月にかけて収穫され、濃厚でクリーミーな味わいが特長です。

なかなか手に入らない国産のアボカド、見かけたら試してみてはいかがでしょうか。

一番の食べ頃は「チョコレート色」

アボカドを切ったときに、硬すぎたり、熟しすぎていたり、酸化していたりして、がっかりした経験はありませんか。

アボカドの食べ頃を見極めるには、まず「色」と「形」を確認するのがポイントです。

アボカドは熟すにつれて、緑色から濃い緑色、チョコレート色、黒色へと変化します。その中で最も食べ頃なのは「チョコレート色」です。真っ黒のアボカドは、熟しすぎているのでご注意ください。「形」は、きれいな涙型がおすすめです。

次に「硬さ」に注目します。アボカドを指でやさしく押してみて、程よい柔らかさと弾力があれば、食べ頃です。

すぐに使いたいときは、この3点「色」「形」「硬さ」をチェックして食べ頃のアボカドを選びましょう。

もし、2~3日後に使いたいというときは、あえて食べ頃一歩手前の「濃い緑色」で「わずかに柔らかい」ものを選び、家庭で完熟させましょう。

食べ頃になるまで、風通しのいい、日の当たらない室内で保存します。この時の適正温度は20度前後。27度以上の気温が高い環境はおすすめできません。

もし早く完熟させたいときは、袋にアボカドと一緒にリンゴやバナナを入れておくと、エチレンガスの効果で通常より早く熟します。

ワンランク上のアボカドの見極め方

続いて、食べ頃のアボカドの選び方「上級編」をご紹介しましょう。ポイントは「皮」と「ヘタ」です。

まず「皮」は、ツヤとハリがあるものを選びます。皮が浮いているように見えるものや、シワがあるものは熟しすぎている証拠です。

次に「ヘタ」も、食べ頃を見極める大切なポイントです。アボカドはヘタの部分から熟します。ヘタが乾燥し浮いてきているような状態のものを選びましょう。

ただ、ヘタの周辺が柔らかすぎたり、ヘタが取れて黒くなっているものは、酸化したり変色している可能性があるので避けましょう。

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