はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
NISA口座についてご相談です。1年ほど前から投資信託に興味を持ち始め、A投信で毎月1万円、ボーナス月3万円の積立投資をしています。現在、NISA口座に22万円ほど貯まっています。
色々と勉強していくうちに、A投信は諸経費が高いことがわかったため、B証券のインデックス投資に乗り換えようと考えています。A投信の定期積立は中止して、貯めた22万円はこのまま放置して温め、B証券で新しく「つみたてNISA」の口座を開設して、積み立てを開始しようかと考えています。ただ、NISA口座はひとり1口座とのことで、どのように乗り換えればよいのか分かりません。どうぞよろしくお願いします。
〈相談者プロフィール〉
・女性、29歳、既婚(夫:公務員)、子供なし
・職業:会社員(事務職・正社員)
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯年収:570万円(夫:手取り320万円、妻:手取り250万円)
・毎月の支出目安:21.2万円
花輪: 2018年から新たにスタートした「つみたてNISA」。相談者さんの悩みのように「一般NISA」との使い分けが複雑だという問題があります。つみたてNISAと一般NISAは、原則として併用はできないからです。
「一般NISA」から「つみたてNISA」に移行できる?
新規で始める人にとってはNISAの口座開設はシンプルですが、すでに一般NISAの口座を開設していて、その口座に資産を保有しているという人もいるでしょう。
一般NISAの口座で保有している残高は、つみたてNISAに移行することが可能です。非課税期間が終わるまで、そのまま持ち続けることもできます。その際、新たに投資商品を買うことはできませんが、途中売却も可能です。
ただし、一般NISAの5年間の非課税期間が終わって、次の非課税期間に資産を繰り越す「ロールオーバー」ができなくなるので注意が必要です。
残りの非課税期間や含み益(含み損)などの兼ね合いで、切り替えが有利になるタイミングは変わってきます。ちなみに、つみたてNISAと一般NISAは1年ごとに切り替えができます。
金融機関を変更しないのであれば、一般NISAからつみたてNISAへの移管手続きは、取引先の金融機関に書類を提出するだけです。金融機関を変更する場合は、変更前の金融機関と変更後の金融機関に書類を提出する必要があります。
手続きの仕方は金融機関によって異なるので、各金融機関に確認をしましょう。
相場に一喜一憂せず、積み立て投資を行うのが基本
購入した金融商品の価格が上がったり下がったりすると、一喜一憂する人も多いかもしれません。
積み立て投資の場合は一括購入と比べると、マーケットの変動に対しておおらかに構えることができます。毎月タイミングをずらしながら買うことができるからです。
基準価額が変わると購入できる口数が変わってきます。投資信託の値段が安い時はたくさんの口数が買え、値段が高くなると少ない口数しか買えなくなります。
投資信託の評価金額は口数と基準価額の掛け算で計算をします。相場が反転すると、安く買いこんだ口数に上昇した基準価額を掛け合わせるので、投資信託の評価金額は一気に上昇するのです。
値段が下がった時にたくさん買い、上がった時は少なく買うという買い付け方法を定期的に続けていくことになります。
底値で買えるのであれば一括で買うのもよいですが、ランダムに動く相場を予測し続けることは至難の技です。
積み立て投資の方が仕事で忙しい夫婦には向きそうです。焦らずコツコツ続けることが大切です。