はじめに
東京株の全面高はなぜ?
9月21日、日銀が新しい金融緩和の枠組みを発表したことで東京の株式市場は全面高になりました。株が上がるというのはいいことなのですが「なぜ?」「難しいことを言われてもさっぱりわからん!」という意見も多いと思います。
日銀は何を発表したのでしょうか?ものすごく簡単に説明してみたいと思います。
今回、株価が上がった理由は簡単にいうと二つあります。一つは「金融緩和を長期戦に持ち込みますよ」と宣言したことです。アベノミクスではマイナス金利政策で日銀がじゃぶじゃぶとマネーを供給して、景気や株価を下支えするという結構無理な政策を行っているので、「それがそろそろ打ち切りになるんじゃないの?」という疑念をみんなが抱いていました。
金融緩和が終了して金利が上がると、1990年頃のバブル崩壊の再来で、不動産価格が暴落したり、企業の株価が下がるのではと、みなが心配していたのです。
しかし、「それはしない」と日銀が宣言したことで、株式市場の参加者が安心した。それが21日の大きな上げにつながったわけです。
金融緩和を長期戦で続けることを日銀が約束した
記者会見では「オーバーシュート型コミットメント」という耳慣れない言葉が使われました。難しい言葉をつかって説明するのは日銀マンのような頭のいい人たちの悪い癖ですが、言っている意味は簡単です。
「目先の効果が出たからといって金融緩和をやめたりしないと約束(コミットメント)しますよ」
ということです。
だから「いつ金融緩和が終わるのか?」を疑心暗鬼になって心配する必要は、これから先何年間かは心配いらない。日銀も長期戦なので、われわれもそのスタンスで投資を考えてよさそうです。
さて、株価が上がったもう一つの理由は「長期金利をマイナスではなくゼロに戻す」と宣言したことです。
長期金利のマイナスをなくす効果は?
異例のマイナス金利は産業界にとっては歓迎でも、銀行の経営に不安を落としてきました。特に体力のない地方銀行などは、マイナス金利が続くことで経営悪化が懸念されてきました。
特に問題だったのは、金利がマイナスになったこと以上に、短期金利と長期金利が同じ水準になったことです。難しい説明は省きますが「企業への貸出金利が儲からない水準になる」とか「日銀に準備金を積み立てると赤字になる」といった銀行経営の根本に影響が出ていました。
これを是正するためには、短期金利よりも長期金利を高く設定できるといいのですが、日銀がそれをやると宣言したのです。だからこれまで不安定な価格で推移していた銀行株がいっせいに息を吹き返すことになりました。
このことはわれわれ投資家にとっても朗報です。長期債券の金利が上がるので、長期国債や社債など、株式よりも安定した金融商品に投資する場合に、受け取る利息が増えそうです。
いずれにしても、解説すればこのようなニュースが発表され、東京株式市場が大きく上に動いたという話でした。