はじめに
子供が誕生すると、様々な場面でお祝い金をいただく機会が増えます。お祝い金を有効に活用するためにも、子供のための証券口座を開設したいと考える親御さんも多いことでしょう。しかし、株式投資の利益によって、親の支払う税金がUPすることがあるので注意が必要です。筆者による苦い経験を元に、子供名義の証券口座を開設する際に注意すべきポイントをお話しします。
子供名義の証券口座で親の税金がUP
子供へのお祝い金がある程度貯まり、子供名義の口座をマネックス証券に開設したのは2000年のことでした。当時購入した日特エンジニアリングの株式は、IT相場の崩壊により18年という長い期間、塩漬け状態になってしまいましたが、株価が再び上昇した2017年にようやく売却することができました。
売却益は約100万円。思わぬ金額に喜んだのも束の間、なんと、私たち親が支払う税金が10万円以上も増える羽目になってしまったのです。一体、なぜこのようなことが起きたのでしょうか。今回は、証券会社に口座を開設する際に扶養されている人が気を付けなければならないポイントをお話しします。
一般口座と特定口座の違い
まず、株や投資信託の売買で利益が出た時は、原則として所得税と住民税が課税されますが、その課税方法については自分で選択することができます。それを踏まえ、証券会社に口座を開設するときには、取引する口座を選ぶ必要があります。
具体的には、一般口座あるいは特定口座のどちらで売買を行うかを選ぶのですが、特定口座の開設申込をしない場合には、一般口座で取引を行うことになります。一般口座と特定口座の主な違いは、確定申告をするかしないかということですが、もう少し詳しくお話ししましょう。
・一般口座
1年間の売買損益について、自分自身で計算をして確定申告をする必要があります。自分自身で取引した書類など全てを準備するため手間がかかり、今では一般口座を開設するのは少数派です。
・特定口座
一般口座で行う確定申告などの手続きの負担を減らすため、2003年1月から導入された制度です。証券会社が1年間の売買損益の一覧表(特定口座年間取引報告書)を作成してくれ、確定申告を簡易に行うことができます。
また、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があり、源泉徴収ありを選択した場合、証券会社が納税を代行してくれるため、確定申告が不要となります。
確定申告までの流れをまとめると以下のようになります。
図:執筆者作成
(日本証券業界 「株式と税金」P.72 <まとめ>確定申告の要否を参考に作成)