はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
現在、シングルで大学3年生の子ども2人の学費を年間200万円支払っています。仕送りはしていません。年30万円ずつ貯蓄していて、現在の貯蓄は200万円のみです。住まいは賃貸で、家賃は7万円。老後を迎えるにあたって、このまま賃貸に住み続けてよいのか、アドバイスをお願いします。
〈相談者プロフィール〉
・女性、51歳、子ども2人(大学生)
・職業:会社員
・住んでいる地域:東海地方
・居住形態:賃貸 (1人暮らし)
・手取り年収:700万円
・毎月の支出目安:20万円(車所有)
・教育ローン:月1.5万円(残り13年)
・総資産額:200万円
花輪: 老後の住まいを確保するために“持ち家を”と考える人も多いようです。老後生活を送る上でマイホームは購入した方がよいのでしょうか。
人生100年時代、老後に必要な金額は?
総務省の家計調査によると、高齢単身無職世帯の月額の家計支出(2017)は約15.5万円、実収入約11.4万円に対して約4万円の赤字になっています。
支出の内訳を見ると、住居費の平均は1万4,538円と、持ち家でローンを払い終えたことが前提の金額となっています。それでも毎月約4万円の赤字で、年間換算すると約50万円の赤字になっているのです。
公的年金の支給が開始する65歳から100歳までの35年間で換算すると、生活費だけでも1,750万円の赤字になります。予備費として最低でも500万円程度は備えておきたいので、老後資金は2,250万円程度必要といえるでしょう。この金額は貯金等で備える必要があります。
どうやって老後資金を捻出する?
大学生の子供が独立をした後は、学費にかけている年200万円が浮くことになります。これをぜひとも老後の備えに回したいものです。
たとえば定年までに8年あるなら、230万円(浮いた学費200万+現在の年間貯金額30万円)×8年で、1,840万円の貯金ができることになりますね。65歳まで働くことができれば、さらに蓄えを増やすことができそうです。
住まいは賃貸か、持ち家か?
マイホームに関しては、地方であれば中古住宅を安く購入する、あるいは安価な賃貸を探すことも可能でしょう。どちらが有利になるかを試算してみましょう。
持ち家の場合は、ローンを支払い終えれば自分のものにはなりますが、修繕費用や税金なども追加で見込んでおく必要があります。それぞれ、メリットとデメリットがあるのです。
また、自分の老後にかかる生活費を試算することも大切です。現在支出額は20万円、老後の生活費を7割で換算すると約14万円になります。
50歳を過ぎると年金額を「ねんきんダイヤル」に問い合わせることが可能です。実際にご自分のケースで収入と支出の目安を出してみましょう。上記の計算式に当てはめてみれば、平均ではなく、よりご自分の現状に近い試算をすることが可能です。