読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回はマネーフォワードから生まれたお金の相談窓口『mirai talk』のFPがお答えします。


来年、定年退職になります。定年退職に伴い、退職金等が入ってくるのですが、どのような受け取り方をすればよいか迷っています。また、老後の生活に向けて、住宅ローンの残額を一括返済したほうがいいのか、資産をどのように投資すればよいのかについて、アドバイスをいただきたいです。会社には再雇用制度があり、65歳までは働くことができます。


〈相談者プロフィール〉
・男性、59歳、既婚(妻:専業主婦)、子どもなし
・職業:会社員
・手取り世帯月収:40万円
・ボーナス:120万円×年2回
・退職金受取予定額:3,000万円 
・確定拠出年金受取予定額:500万円
・預貯金:300万円
・外貨預金:6万米ドル


【家計の内訳(月40万)】
・食費:10万円(外食費含む)
・住宅ローン:10万円(残期間8年、住宅ローン残額600万円)
・住宅管理費等:4万円 
・生命保険:1.2万円(夫:死亡保障500万円、70歳までの定期更新型)
・夫お小遣い:9万円
・その他生活費:5.8万円 
・貯蓄:毎月の貯蓄はあまりなく、ボーナスの7割を貯蓄に回している

FP: ご相談ありがとうございます。mirai talk ファイナンシャルプランナーの宮城です。定年退職を迎えられるのですね。退職金の受け取り方や、年金受給までの働き方など、迷うことはたくさんありますよね。相談者さんにはどういった方法が合うのか、見ていきましょう。

注意すべきは税金と社会保険料!

退職金・確定拠出年金の受け取り方は、一時金形式と年金形式、またはその両方で受け取る方法があります。どれが一番お得になる受け取り方なのかは、実はその人ごとに異なります。

1.一時金形式で受け取る場合

一番税金の負担が少なくなるのは、一時金としてもらう場合です。勤続20年以上の場合、課税される金額は以下になります。

「(退職金の金額ー退職所得控除額【800万円+70万円×[勤続年数ー20年]】)×1/2」

相談者さんが大学を卒業後就職し勤続38年で定年退職を迎えられる場合で計算してみますと、会社の退職金と確定拠出年金を一度にもらうとすると、課税される金額は以下になります。

「(3,500万円ー2,060万円)×1/2=720万円」

税率は23%。そこから所定の控除額を引くと、退職金・確定拠出年金から支払うべき税金は102万円です。

2.年金形式で受け取る場合

一方、年金形式で受け取る場合、預けたままになっている期間にも運用され、複利の効果で増えていくこともあります。ただ、金額によっては所得税に加え、社会保険料がかかるため、実際に受け取れる手取り額は少なくなる可能性があります。

また、年金形式では、有期で受け取るのか、終身で受け取るのか、何歳から受け取れるのかなど、会社の退職金制度によって異なります。

将来的に公的年金をもらうようになった時には、税額に加え、公的年金と年金形式で受け取る退職金の金額が社会保険料を決めるベースの金額になるので、一時金で受け取る場合と比較すると、高い保険料額を納めなくてはいけなくなります。

老後に引かれる社会保険料について考慮し忘れていると、予定していたよりも手取り額が少なくなり、生活設計を崩してしまう可能性もありますので注意が必要です。

このように、受け取り方ひとつ考えるにしても、公的年金の額や退職金の運用率、社会保険料などを総合的に考えていかなくてはいけません。

年金を受給するまでは定年後も働く

定年後も働くということは、年金をもらえるようになるまでの生活をつなぐ手段として必要なことです。

国民年金は現行の制度ですと、65歳から支給が始まり、厚生年金は段階的に受給開始年齢が上がっているので、相談者さんの場合は64歳から特別支給の老齢厚生年金(比例報酬部分のみの支給)が支給され始めます。そして、65歳からは通常の老齢厚生年金の支給が始まります。

ただ、定年退職後は厚生年金に加入しない働き方をするという場合を除き、引き続き厚生年金に加入する職場に勤めて収入を得ると、在職老齢年金が適応されてしまうかもしれません。

年金がカットされる制度、在職老齢年金とは?

在職老齢年金とは、65歳までは、年金受取月額と平均給与(賞与含めた年収額の1/12)の合計額が月28万円を超えると、当初受け取れる予定だった公的年金の一部もしくは全額がカットされてしまう制度です。

カットされた部分は繰り越されることはなく、その部分は年金として受け取れないことになります。しかし、一部がカットされたとしても、厚生年金に加入し続けた分、将来的に受け取れる年金額は増えるというメリットがありますので、どちらがよいか計算し、検討する必要があります。

これは65歳以降、本格的に年金を受給するようになっても制度の仕組みとしては同じです。ただ、年金額と報酬額の合計が46万円を超えたら対象になるというように、少し金額の幅が広くなります。

もし、働いた収入だけで生活ができるような状況で、在職老齢年金の対象になってしまう場合は、年金の繰り下げを利用することも1つの手段です。年金は1か月繰り下げるごとに、0.7%ずつ受給金額が増えていきます。1年で8.4%、5年で42%にもなります。下手な投資をするよりも確実で利回りがよいですよね。

生活費を月5~7万円削減して

生活費が毎月40万円もかかっている現状のまま、住宅ローンの返済が68歳まで続くというのは、少々きついと思われます。

借入金利や現在の預金額、退職金額などから考えると、一括で返済をしてもよいかと思います。ご夫婦で65歳までは再雇用で働いた収入で生活をし、その後は100歳まで生きると仮定し、老後資金から介護費用1,000万円を考慮に入れても、年金額に月5万円ほど補填をしていくことで、暮らしていけるでしょう。

ただ、相談者さんの今の家計状況ですと、住宅ローンの10万円がなくなったとしても生活費に30万円かかります。これではなにか大きな出費などがあった場合に対応できない可能性があります。生活費のダウンサイジングを図り、月5~7万円の生活費を削減できれば、その心配はかなり少なくなります。

現状のままですと、食費が高めであるように感じられますし、年金生活に入ったあとの相談者さんのお小遣いも現状と同額が必要なのかも考えていただきたいところです。

また、お子様がいないのであれば、生命保険の死亡保障はそんなに多くは必要ないでしょう。現在のご家族構成やライフスタイルに合った保障内容の見直しも検討しましょう。

流動性を確保しながら運用を

老後の資産運用も考えているようですが、リスクを大きくとる商品は避け、リスクの低い投資信託等で、いつでも引き出せる流動性を確保しながら運用しましょう。また、現在の外貨預金については、為替の状況を見ながら日本円にしておくとよいでしょう。急にお金が必要になった時に為替で損をする状況で円転するのでは、せっかく貯めたのにもったいないからです。

まとまった退職金を得たときに、不慣れな投資で失敗してご相談に来られる方も多いです。さまざまな商品勧誘を受けられるかと思いますが、リスクや商品の仕組みなど、ご自身できちんと理解できるものを選ぶように心がけてください。

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