はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
29歳独身で、結婚の予定はありません。現在借り上げ寮に住んでおり、家賃補助が7割ありますが、あと2年で終了します。5年以内に中古住宅の購入を考える中で、投資について以下の3点で悩んでいます。アドバイスよろしくお願いします。
【現在の資産状況】
・預金:1,300万円
・日本株:110万円(うち自社株100万円、月1万円積立))
・投資信託:6万円(月0.5万円:インデックス型)
・企業型確定拠出型年金:140万円(月約4万:バランス型8割・J-REIT2割)
1.)よくわからないまま自社株や日本株を始めてしまいました。仕事の忙しい自分には投資信託が合っていると思って始めましたが、いまだに日本株の割合が大きくバランスが悪いです。外国債券や日本債券を増やした方がよいでしょうか。
2.)預貯金の割合が多く、投資にもっと回せると思います。ただ、5年内に家を購入したいと考えていることを踏まえると、現状、いくら投資に回せばよいでしょうか。ちなみに、毎年200万円ほど貯金ができています。
3.)投資に回せるお金が200万円ある場合、スタートの投資額は全額を使ってもよいのでしょうか。それとも毎月20万円ずつ分けて投資したほうがよいのでしょうか。
〈相談者プロフィール〉
・女性、29歳、未婚
・職業:会社員
・手取りの世帯月収:25万円(ボーナス手取り160万)
・毎月の支出目安:15万円
・総資産:1,550万円
花輪: ご相談ありがとうございます。順番が前後しますが、いただいた質問ごとに回答いたします。
(1)理想的なポートフォリオとは?
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、安全かつ効率的な運用を行うための「基本ポートフォリオで定める資産構成割合」を示しています。こちらのポートフォリオを参考にすると、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%です。
現在、預金1,300万円ですが、こちらは銀行が国債で運用しているので、間接的に国内債券を買っているということになります。日本株は110万円、投資信託が146万円ということですね。投資信託の中身がバランス型ということでわからないので、仮に外国株式と外国債券50%ずつだと仮定しましょう。その場合、80%以上が国内債券ということになります。
ポートフォリオを組んで資産運用をする場合、万一の備えとして一定期間の生活費は安全資産として別に確保するべきです。
たとえば、2年分の生活費を確保すると、毎月15万円で生活をしているので360万円を別に預金などで確保しておくことになります。残りの940万円分の預金は資産運用に加えてもOKということになります。
GPIFのポートフォリオを参考にするならば約1,200万円のうち、420万円を国内債券、300万円を国内株式、180万円を外国債券、300万円を外国株式にするのも手です。つまり、預金から追加で国内株式を190万円、外国債券を107万円、外国株式を227万円買い足してもよいことになります。
(3)積み立てで下落リスクを回避する
現在は世界的に株式が高騰しています。一気に買うと、下落リスクがあるので積み立てをするという方法も考えられます。
積み立ての場合、仮に相場が下落した場合も、相場下落時は安く購入することができるので、相場が回復した時に利益を出すことができます。
現在、国内、先進国、新興国の公社債、および株式に投資をする投資信託で積み立てをしているので、それをコツコツ買い増すという方法も悪くはありません。非課税のつみたてNISAなどを利用して積立額を増やしてもよいかもしれませんね。
(2)住宅購入をする場合でも、保有したままでOK
自宅を買いたいということですが、金融資産の場合、株や投資信託などでも通常は数日で換金をすることができます。
そのために自宅を買いたいという場合も、株などで保有しておいても流動性の問題はないです。値下がりリスクを考えて債券を多めに持っておくのも1つでしょう。