はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

都内の会社で役員をしており、妻はパートで働いています。現在、家を建て直しており、9月には完工します。3,800万円のローンを79歳まで組むので、今後の資産運用について悩んでおります。現在の資産は以下の通りです。アドバイスよろしくお願いいたします。


【現在の資産】
・現預金:3,500万円
・株式現物:320万円
・投資信託:1,075万円
・保険:420万円(ドル建て一時払)
・年金保険:230万円(iDeco月2.3万円、定額年金200万円)
・ANA旅行積立:60万円、他


〈相談者プロフィール〉
・男性、54歳、既婚(妻:パート)、子どもなし
・職業:会社役員
・居住形態:持ち家(戸建て)
・手取りの世帯月収:90万円(夫80万円、妻12万円)
・毎月の支出目安:55万円
・総資産額:5,700万円


花輪: ご相談ありがとうございます。

資産運用より住宅ローンの返済を優先させる

住宅ローンを79歳まで組むということですが、金利動向(変動金利の場合)など経済状況に合わせて、手持ちの資産から繰り上げ返済を考えていきましょう。

株式現物(320万円)や投資信託(1,075万円)に関しては、換金しやすいのでお金が必要になったら売却を考えてもよいでしょう。基本的には住宅ローンの利息を確実に減らす方が不確実な資産運用より優先順位は高くなります。

保険(420万円)、年金保険(230万円)に関しては、換金がしにくいので老後資金として考えましょう。

老後資金は夫婦で3,000万円以上が目安

総務省の家計調査(2015年)によると、年金世帯の月間の平均支出は、27万5,706円(年間330万円程度)です。定年退職をする時期や寿命にもよりますが、65歳から90歳までの25年間と仮定すると、8,271万円程度必要になります。

これに対して公的年金の目安はいくらか。

年金世帯の平均収入は月21万3,379円(年間約256万円)、25年間で約6,401万円です。必要総額に対して年金などの収入だけでは、約1,870万円の赤字になります。

そのため、不足分を確定拠出年金(401k)などで準備しなくてはなりません。

生活費のほかにも、住宅の修繕や介護費用など、予備費として少なくとも1,000万円程度は必要です。世帯で少なくとも3,000万円程度は用意したいものです。有料老人ホームに入居する場合は、さらに多額の老後資金が必要です。

収入は少なめに、支出は多めに見積もる

退職金が出る、出ないなど、人によって条件は違うので、将来の年金額や退職金額などを確認しましょう。シミュレーションをする際に、将来もらえる予定のお金は少なめに見積もり、支出額は多めに見積もるのがポイントです。

少子高齢化社会で日本の財政も厳しく、給付のカット、負担の増大が予想されるからです。また、そうではなくとも、遠い将来のシミュレーションは悲観的に見積もっておく方が破綻は少ないでしょう。

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