はじめに

資産運用の第一歩として、投資信託(投信)デビューを果たした方は多いと思います。一方で、買うときには一生懸命勉強してあれこれ選んだのに、いざ買ったらそのまま放置……という方もまた、多いことでしょう。

確かに、投信は運用の専門家に投資を任せる商品ですから、買っただけで何となく安心してしまうところがあるかもしれません。しかし、当然ですが、投信を買う目的は少しずつでもお金を増やすことにあります。

車がメンテナンスで安全を保つのと同じように、投信も「リバランス」という見直しを行うことでリスクの取りすぎを抑え、パフォーマンスを高めることができるといわれています。今回は、その基本となる考え方についてご紹介します。


資産の組み合わせやリスク許容度は人によって違う

本題に入る前に、投信を買うときに考えた(と思われる)ポートフォリオとリスク許容度について少しおさらいしておきましょう。

投信はもちろん、株式・債券・不動産など、投資できる資産の価格は、日々変動しています。ですから、特に長期間投資をする場合は、お金を値動きの異なる資産を組み合わせる(分散投資する)のがセオリーです。

そうすることで、仮にある資産が値下がりしても、ほかの資産が値上がりしてカバーしてくれる効果が期待できるからです。こうした資産の組み合わせのことをポートフォリオといいます。

このポートフォリオは、当然ながら、人によって異なります。なぜなら、取ってもいいと考えるリスクの度合い(リスク許容度)が人によって違うからです。

リスク許容度は普通、年齢が低くてお金に余裕があるほど高いとされますが、個人の考え方にも大きく左右されます。リスクが高いほど、得られる利益が大きくなる可能性がありますが、同時に損失が大きくなる可能性も高まることになります。なお、投資で得られる結果のことをリターンといいます。

値動きを安定させるのに大切な「リバランス」

さて、ポートフォリオを組むときには、自分のリスク許容度に合った資産を組み合わせるのが一般的です。

たとえば、値動きの幅が比較的大きい外国株式投信・値動きの幅が中くらいの国内株式投信・値動きの幅が小さい国内債券投信の3つを組み合わせる、といった具合です。どんな資産を、どんなお金の配分比率で組み合わせるかによって、リスクの度合いも変わります。

しかし、いざ運用が始まると、個々の資産が値上がりしたり値下がりしたりするため、徐々に当初の配分比率が変わってきてしまいます。これを元に戻してあげることを「リバランス」といいます。

前述の3つの投信を買った結果、外国株式投信だけが大きく値上がりしたとします。そのこと自体は喜ばしいかもしれませんが、これは同時に、資産全体に占める外国株式投信の配分比率がアップしたことを意味します。

つまり、今後外国株式投信が値下がりしたときには、資産全体が当初よりも大きく値下がりしてしまう可能性があるのです。リバランスによって配分比率を戻すことで、このように損する可能性を減らし、コツコツと利益を積み上げることができると考えられます。

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