はじめに

「実家の墓参りには行くけど、自分もいつかあそこに入るのかな?」とぼんやり思っている人にも無関係ではない、今回は少子高齢多死社会の「お墓」のお話です。


「6つのポケット」が「6つのお墓」へ

毎日のように聞こえてくる「少子高齢化」という言葉。いくら子供が減った減ったと言われても、若い世代にとってはその環境が当たり前です。少子化でいったい何が悪いのか、正直ピンとこないかもしれません。しかし、少子化により確実に変わるといえるのが「お墓」です。

バブルの頃に生まれた「6つのポケット」という言葉は、一人の子供に対して、両親とその双方の両親(祖父母)、合わせて6人がお金をかけることができる、という意味で使われました。少子化に加えて非婚化の進んだ近年では、それに独身のおじ・おばが加わり、8つのポケット、10のポケットなどと言うこともあるようです。恵まれた環境に思えます。

しかし裏を返せばそれは、その子どもが成人したら、一人で6人の、8人の、いやもしかしたら10人以上の人間を見送る可能性があることを意味します。これからの子供たちは、自分より上の世代 が亡くなった時、“お墓”になんらかの形で関わることになるのではないでしょうか。さらに、私たち自身も独身を通したり、子どもを持たない選択をしたりする場合を考えると、やはり、お墓については知っておいた方がいいでしょう。

従来型の墓に入るとしたら?

急速な少子高齢化を遂げた日本。もはや高齢化社会・高齢社会を通り越し、世界一の超高齢社会です。今後、お墓の数も当然、増えることに……。

お墓は、寺院に付属しているものだけでなく、宗派不問の公営・民営さまざまなものがあります。価格はピンからキリまで。墓地を「購入」というのは、土地を購入するのではなく「永代使用料を支払い、墓地として使用する権利を購入する」こと。

ゴルフの会員権みたいなものですね。墓石や外構は別売りですし、この他に年間の管理費がかかってきます。ちなみに、「永代使用料」といっても「永遠」ではありません。お墓の土地を永代に渡って使用するための料金であり、その定義は立地条件や寺院や霊園によって違います。

昔からある広大な墓地を歩いていると、所々墓石のない「更地」がありますが、これは遺族が絶え、管理費が滞るようになったお墓の「跡地」。

どんなに墓所が立派でも、それはもう無縁仏ですから、改葬されて遺骨はその他大勢の遺骨と合祀されることになりますので注意が必要です。すでにお墓がある人もこれから購入する人も、永代使用権や管理費についての規定はきちんと確認しておきましょう。

<墓地の利用料+管理費+墓石>
(例)

一般的なお墓公営民間
場所都立小平霊園(東京・小平)ねむの木ガーデン(東京・練馬)
利用料154万800円~509万3200円154万円~374万円
管理費1320円~3960円/年2万5000円~4万円
墓石の一般的な価格100万円~300万円

一方最近では、地価の高い大都市では、便利な場所にコンパクトな納骨堂を選択する人も増えています。

<納骨堂>
(例)

江北山清水寺和公苑(東京・浅草)
使用料20万円~160万円
管理費0円
永代供養合葬墓、位牌堂形式

お墓は子孫が守るもの、とされていましたが、非婚化・晩婚化の流れで、子供のいない夫婦や独身者のお墓の需要が増えています。継承者のいない人たちが自分たちの納骨ができる墓を希望する場合、管理費を一括して支払う「永代供養料」というシステムがあります。

区画の使用料を購入して自分(夫婦)の墓を建てるものから、家族観の多様化を反映して、独身の友人同士が「墓友」になり同じお墓に入るプラン、ペットと一緒の墓に眠るプランとさまざまなスタイルがありまです。

いずれも、管理費込みで利用することができ、墓地によっては僧侶による定期的な供養もしてもらえるなど、従来型のお墓に近いところが魅力です。一定期間(33回忌など)が過ぎたら、他の人の遺骨と一緒に合祀される場合がほとんどです。

<継承者のない人のためのお墓【永代供養墓】>

一人で入るなら個人墓、合祀墓
夫婦で入るなら夫婦墓
ペットと一緒に入るならペットと埋葬が可能な墓地
友達と入るなら親族以外との埋葬が可能な墓地
同姓の配偶者と入るなら親族以外との埋葬が可能な墓地
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