はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。

夫婦2人暮らしです。今年、私が定年退職して、収入は夫の給料のみになりました。夫には持病があり、これ以上の収入は期待できません。収入が半分以下になったため、生活レベルを下げたいのですが、何から手をつければいいのかわかりません。

〈相談者プロフィール〉
・女性、59歳、既婚(夫:会社員)、子どもなし
・職業:専業主婦
・居住形態:持ち家(マンション)
・手取りの世帯月収:20万円
・毎月の支出目安:37万円
・総資産:2,000万円


花輪: 定年退職後は収入が減るので、現役時代と同じ生活を続けていると毎月の収支が大きく赤字になってしまいます。

そこで、生活レベルは落とさずに、どんな節約ができるか考えてみましょう。

4大固定費の削減が貯蓄作りのカギ

まずは、固定費の見直しから始めることをおすすめします。固定費とは、毎月固定で決まってかかる費用のことです。

なかでも金額の大きい「自動車費用」「保険料」「住居費」「教育費」を、私は4大固定費 と呼んでいます。この4大固定費をいかに小さくおさえるかが、「節約=貯蓄作り」の最大のポイントになります。

4大固定費のなかでも見直しやすいのは、保険料や自動車費用です。

住居費は、不動産を買ってローンを組んだ後に大きく変動させることは難しいからです(住宅ローンの借り換えなど一部の見直しは可能)。賃貸の場合も、引越しをするとなるとコストがかかります。

マイカーのコスト、1年当たりいくらかかる?

自動車費用は大きなコストになります。たとえば、300万円の自動車を購入して、7年間乗る場合の自動車費用を考えてみましょう。自動車税に年4万5,000円、ガソリン代に年6万4,000円程度、車検時に自動車重量税として2万円なら、7年間で約380万円かかることになります。

つまり、1年当たりのコストとして約54万円です。

この他にも、自動車保険に年5万円、点検費用・消耗品の交換費用に年5万円、駐車場代に年24万円かかる場合、年間で約90万円の費用になります。1ヵ月あたり7万5,000円です。

自動車費用がかかり過ぎているという場合は、車種のダウンサイジングを検討してみるのも手です。燃費のよい軽自動車やコンパクトカーにすれば、コストを半分以下に下げることも可能です。100万円の軽自動車の場合、自動車税は年7,200円、ガソリン代に年5万円程度、車検時に自動車重量税として1万円で、7年間のコストは約140万円です。軽自動車ほどではありませんが、コンパクトカーも十分にリーズナブルになります。

また、所有にこだわらず、利用頻度に応じて、タクシー、カーシェアリングやレンタカー、カーリースを利用してみるのもよいでしょう。

保険料の平均、月2万4,038円

毎月の保険料もとても大きな支出になります。総務省の家計調査(2016年度)によると、1ヵ月の保険料の全国平均は2万4,038円です(2人以上の世帯のうち勤労者世帯)。

老後、病気、世帯主に万一の場合があった時など、生きていると常に不安がつきまといます。そのため、色んな保険に加入している人が多いのです。もちろん、さまざまなリスクに対して保険で備えることができればいいですが、すべてかけてしまうと保険料が非常に高くなってしまいます。

保険はあくまでも契約ですから、契約をした条件にぴったり当てはまらないと、残念ながらお金を受け取ることができないといったケースも出てきます。また、幸運にも何もなかった場合には、保険料だけを支払うことになってしまいかねません。

そのために、保険に加入するなら、自分で中身が理解でき、シンプルかつ保険料が十分に安価なものがよいのです。保険は必要な分をダイレクトで購入すると安くなります。

保険を選ぶ、たった2つのルール

保険をリストラする方法は至ってシンプルです。たった2つのルールさえおさえておけば、生命保険、医療保険、自動車保険などの損害保険を考える際に、当てはめることが可能です。

ルール1:保障を絞る
ルール2:安価な商品を選ぶ

この法則に当てはめて、必要な保障に絞り、通販や共済など安価な商品を選ぶと、保険料を抑える効果があります。

自動車費用、保険料などの大きな固定費を見直し、4大固定費は手取りの50%以内に留めることによって、生活費や貯金にかなりお金をまわすことができるようになります。この4大固定費をいかに小さくおさえるかが、家計節約の最大のポイントになります。

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