はじめに
超低金利の時代である今、お金を単に銀行に預けているだけでは資産が増えづらい時代です。将来の年金受給や老後の生活資金などへの不安から、老若男女を問わず資産形成の重要性がいっそう高まっています。
その流れはどんどん低年齢化し、今や小学生にも。単なる知識としての勉強ではなく、ゲーム感覚でお金の動きを学ぶ講座が各地で人気を集めています。
今回は、東京ミッドタウンで開催された日興アセットマネジメントによる「夏休み親子お金研究室」の様子をのぞいてみました。
小学生のお金教育に関心が高まる
「日本のお金の単位は円ですね!では他の国の単位を知っていますか?」
講師を務める小島厚子さん(日興AMファンドアカデミー学長)の呼びかけに子供たちからは、「ドル!」「ユーロ!」」と次々と元気な声が上がります。中にはペソ、ウォン、ルピアなんて声も。大人も顔負けの知識量に驚かされます。
日興アセットマネジメントでは、小学5,6年生を対象に2011年から親子で学ぶ特別授業を開催しており、今年で8回目となります。夏休みに開催されるこちらのイベント、毎回、定員の30組を大幅に上回る数百組からの応募があるそうです。
扱うテーマは「景気」「円高・円安」といった経済の基本から「株とは?」「投資とは?」といった大学生でも理解が難しそうなものまで。小学生にも、お金と社会のつながりを理解してほしいという主催者側の熱意が伝わってきます。
近年は、東京など首都圏だけでなく、北は東北から南は沖縄まで、全国各地の小学校や金融機関と組んで講座が開かれており、小学生からお金について学ぶことについて、全国的に関心は高まっているようです。
株はどうして上下するの?
授業は、お金の単位から為替の話とテンポよく進んでいきます。「円高円安って何のことを言っているか分かりますか?」
配られたテキストを見ながら日本の円とアメリカのドルの交換を例に考えていきます。「現在、1米ドルと100円が交換できるとします。これが、1米ドルと90円が交換できるとなると、円の価値はどうなるでしょう?」「反対に1米ドルを110円出さないと交換してもらえないとどうなりますか?」
答えは、1米ドル90円ならば円高、1米ドルが110円なら円安ですね。とはいえ、大人でも一瞬迷うことのある「円高、円安」の概念ですが、子供たちはすんなりと「円の価値が上がること下がることを理解していきます。
「為替の話で大切なのは、お金の価値が上がったか下がったかです。よく覚えておいてください」(小島さん)
為替の話の次は、いよいよ今回のメインテーマとなる「株ってなに?」という話題へ。株というのは正式には株式であり、株式会社を作るときにお金を出してもらうことを「出資」、それを証明するものが「株券」、株をもっている人を「株主」、儲かった一部を還元するお金が「配当金」であると学びます。
でも、どうしてお金を出してもらったと証明する株券が毎日、上がったり下がったりするのでしょうか?話は段々と難しくなっていきます。
小島さんは、オークションを例にあげ、みんなが欲しいものはどんどん値段が上がっていくと話します。「その会社が儲かりそうだと期待すると上がる。でも逆は下がるということですね。イメージがつかめてきましたか?」
ゲームを通して世の中の仕組みを学ぼう
さて、講義はひとまず終了。ここからは、子供たちお待ちかねのゲームの準備に入ります。子供たちにあらかじめ配られた財布の中には、おもちゃの500円札2枚が入っており、この千円を使って架空の「自動車会社」「飲料メーカー」「ゲーム会社」に対し投資をしてみます。
ルールはまず、投資先と金額を決め、「買い注文伝票」に投資額を書き込み、実際に証券会社のスタッフに買いに行きます。注文伝票とお金を渡して株券を受け取れば完了です。
実際にゲームを始める前に、「自動車会社」「飲料メーカー」「ゲーム会社」の株が上がるのか下がるのかを考えてみます。
「世界経済や為替の影響はある?」「今年の夏は暑い?涼しい?」「新商品の開発は?」スクリーンにヒントが映し出されると、真剣に考える子供たち。しばし、親子で話し合いの時間が持たれました。