はじめに

シェアリングエコノミー(シェア経済)が拡大しています。7月に内閣府は、初めてシェア経済の市場規模の試算結果を公表しました。

2016年の市場規模は全体で4,700~5,250億円程度、内訳はフリマアプリなどの「モノ」のシェアが3,000億円程度で最も多く、民泊などの「スペース」のシェアが1,400~1,800億円、家事代行などの「スキル」のシェアが150~250億円ということです。

なお、この推計では、個人間のやりとりに注目したために、主に企業が提供するカーシェアリングサービスなどは含まれていないそうです。

シェア経済は日本の名目GDPの548兆円と比べると、0.1%程度ですので、現時点では日本経済全体に与える影響は大きくないよう。とはいえ、皆さんにとってシェアリングサービスは、どんどん身近になっているのではないでしょうか。

ここで、ニッセイ基礎研究所が実施した生活者1万人を対象に調査に基づいて、どんな消費者がシェアリングサービスを使いたいという意向が強いのか、その特徴を見ていきたいと思います。


シェア志向が強いのは若者と男性

調査では「中古品でも、気にしないで買う方だ」「ネットを通じて個人からものを買うことに抵抗はない方だ」「ものは買うより、できるだけレンタルやシェアで済ませたい」「買い物はできるだけインターネットで済ませたい」といったシェアリングサービスの利用意向に関する問いを用意し、これらへのあてはまり度が高い層をシェア志向の強い消費者として分析しました。

まず、年齢や性別による違いを見てみましょう。シェア志向は若いほど強く、どの年代でも女性より男性で強くなっています(図1)。若者や男性について詳しく見ると、特に「買い物はできるだけインターネットで済ませたい」や「ネットを通じて個人からものを買うことに抵抗はない方だ」といった問いへのあてはまり度が高くなっています。

さらに、他の調査項目から、若者は安くてお得なモノを求めて日ごろからネットで情報収集をしている様子。また、男性では、おサイフケータイや電子マネーなどスマホなどを使った電子決済にも積極的な様子も見えました。

つまり、若者や男性でシェア志向が強い背景には、店舗よりネットでの購入を好むこと、ネットでの個人間売買への抵抗が弱いこと、若者はネットをよく見ていること、男性はスマホなどを使った電子決済に積極的であることが影響しているようです。

ここで、女性の方がシェア志向は強い印象がある、と疑問を持った方もいるかもしれません。確かにフリマアプリの出品状況などを見ると、若い女性や主婦の方が積極的なようです。調査で捉えたシェア志向とは、あくまでシェアリングサービス全体で見たもの。

よって、「モノ」のシェアで言えば、フリマアプリだけでなく、オークションやカーシェアリングサービスも含みますし、民泊などの「スペース」のシェアや「スキル」のシェア、さらにクラウドファウンディングなどの「お金」シェアも含みます。ですので、シェア全体で見れば女性より男性で強いと理解するとよいでしょう。

学生と公務員で強いシェア志向

では、次に職業による違いを見てみましょう。男女ともシェア志向は「学生」で最も強く、次に「公務員」で強くなっています(図2)。詳細を見ると、どちらも中古品を気にしない傾向が強いのですが、ニュアンスが若干違うようです。

「学生」はネットでの購入を好み、ネットの口コミなど多くの情報を見た上で中古品でも気にしない、「公務員」は堅実・慎重な消費態度から中古品でも気にしないという違いがあります。「公務員」は貯蓄意識が高く、安全や環境に配慮してモノを買うという傾向があります。

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