はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
現在、主人と子ども(2歳)と私の3人で賃貸マンションに住んでいます。秋にはもう1人出産します。私も主人も会社員で、転勤はありません。私は出産後も仕事を続ける予定です。
数年後に二世帯住宅の建築を検討しています。主人の両親(60代前半)と同居予定です。理想は、お互いのプライバシー確保のために、ひとつの土地に2戸建築し、将来両親が亡くなった場合に賃貸に出す、または土地を分筆して売却できるようにしたいと考えています。主人がひとりっ子なので、近くに両親がいた方が安心ですし、子どもの面倒も見てもらえるので助かると考えた結果なのですが、かなりの費用が必要なのと、一度建ててしまうと、万一上手くいかなくてもなかなか引越しができなくなるので、まだ決断ができないでいます。
資産面で考えると、二世帯住宅には賛成でしょうか。また二世帯住宅を建築する場合に知っておいた方がいい制度などがあれば教えてください。
(30代前半 女性 既婚 子ども1人)
花輪: 親世代は現金はあるけれどローンが組みづらく、子世代は現金は少ないけれどローンが組みやすいものです。お互いに経済的なメリットがあるという理由もあって、二世帯住宅を検討する親子は多いようです。
ですが、建築費は高額になりますので、家族でよく話し合ってじっくりと決めたいですね。
二世帯住宅を建てる際に活用したい制度
「小規模宅地等の特例」は、自宅の土地などを相続した場合、相続税のもととなる評価額が8割減額されるというものです。この特例を受けるには、同居などの要件を満たす必要があります。
<小規模宅地等の特例>
自宅の土地などを相続した場合、330㎡までの部分に対して80%の減額が受けられる。特例を受けることができるのは、配偶者、同居親族、持ち家のない親族、生計一親族など。配偶者以外が相続する場合は「申告期限まで売らない」などの条件がある。
例)評価額1億円の土地を相続した場合、2,000万円の評価としてみなされる。
二世帯住宅の場合、建物の内側で構造的につながっていないと同居とみなされないという規定がありましたが、平成26年1月1日以降の相続については、独立型の二世帯住宅も対象になるなど、条件が緩和されました。
特例を受けるには登記方法に注意が必要
注意点として、二世帯住宅では世帯ごとに建物の区分所有の登記が行なわれていると特例は利用できません。
特例の要件を満たすためには、登記の方法について、あらかじめ不動産会社や司法書士などの専門家に相談をしておくとよいでしょう。
独立型の二世帯住宅は、玄関が別だったり、建物内で行き来ができない構造のため、お互いにプライベートな空間を保つことができます。また、相続したあと、しばらく経ってから賃貸物件として出しやすいため、利便性が高いと考える人も多いようです。