江戸~昭和にドップリと浸る

その次に配置されている「江戸にぎわい光夜」は、江戸の城下町をイメージしたエリア。神社の鳥居に近づくとお賽銭のチャリーンという音が鳴ったり、店舗ののれんをくぐると店の主人が出てくるといった仕掛けがあります。映像によるギミックを楽しんでもらうゾーンだといいます。

明治時代を表現した「明治サプライズ迷路」には、10台の大型スクリーンが設置されていて、プロジェクターから映し出された映像が浮かび上がります。明治の文化が感じられる映像に触れると、花火が上がったり、人が動きたりする仕掛けが施されています。


明治の文化が感じられる10の映像を体感できる「明治サプライズ迷路」(c)TOKYO MEGA ILLUMI

大正時代を再現した「大正ロマン光庭園」では、大正ロマンを表現するため、特注のLEDを使用。シャーベットトーンの大正ロマンカラーに近づけ、ステンドグラス風の照明にしたそうです。

内馬場から戻ってくる最後のトンネルは、昭和時代をイメージした「昭和ただいま横丁」になっています。懐かしい雰囲気が漂う、昭和の黄昏の横丁を再現。看板の店名が大井競馬場の年末を飾る大レース「東京大賞典」の歴代優勝馬の名前になっているなど、競馬ファンにはうれしい仕掛けが隠されています。

エントランスゾーンから食事も楽しみながら回ると、所要時間は90~120分程度。内馬場だけだと60~70分くらいだといいます。「10の異なるエリアがあるイルミネーションは珍しいです。撮影スポットもカメラマンが迷うくらい、たくさんあります」と、丸々さんはアピールします。

大規模イルミネーションを開催する狙い

それにしても、ここまで気合いの入ったイベントを開催する狙いは、どこにあるのでしょうか。

東京都競馬の山口一久社長は「大井競馬場は羽田空港や東京港、横浜港からも近く、国際都市としてのポテンシャルの高い立地です。これまでも『100日の競馬から365日のアミューズメントパーク』ということで競馬場を魅力的にしようと取り組んできました。“光の競馬場”として一層充実させていきたい」と語ります。

背景にあるのが、政府が旗振り役となっているナイトタイムエコノミーの活性化です。東京には年間約1,300万人の外国人が訪れますが、その多くが夜のエンターテインメント・コンテンツが不足していると感じているといいます。こうした層の受け皿になろうというのが、メガイルミネーションの狙いの1つです。


会見に臨んだ山口社長(左)、丸々さん(中央)、斉藤副管理者

また、大井競馬場で実際に競馬が開催されるのは、年間100日程度。残りの日数もイベントなどの開催によって稼働させることで、収益のさらなる上乗せを狙いたいという思惑もあるようです。

特別区競馬組合の斉藤副管理者は「大井競馬の馬券売り上げの約65%はインターネット経由で、大井競馬本場での売り上げは1割程度。大きな課題である『本場の活性化』を進めるためにも、イルミネーションを使って、多くの人が競馬場を見てもらうきっかけになれば」と期待を寄せます。

モノレールやはとバスともコラボ

大井競馬場は、東京都が3月に定めた「公共施設等のライトアップ基本方針」に対象施設として指定されたほか、品川区のシティプロモーション事業の対象にも選ばれています。

今後は、来場動線の1つである東京モノレールが“光”をテーマとしたモノレールを検討中。はとバスも同社の70周年記念事業として、メガイルミネーションとのタイアップ企画を推進しているそうです。

こうした官民との連携施策を推し進めることで、東京都競馬の山口社長は「現在、年間130万人の来場者数を、5年後には200万人にしたい」と意気込みます。このうち、初年度は30万~35万人の集客を目指す意向です。

香港やドバイなど、アジアの観光都市ではナイター競馬が開催され、ナイトタイムエコノミーの1つの目玉となっているところもあります。大井競馬場も、政府が掲げる「観光立国」の推進役となりうるのでしょうか。メガイルミネーションは大きな使命を背中に乗せて、発馬機の中でスタートの瞬間を迎えようとしています。

(文:編集部 猪澤顕明)