はじめに
相場の転換点となる割合は5割前後
続いて、2つ目の検証です。「(2)満月と新月は相場の転換点となりやすい」について調べました。
表2の左上の値は48%です。これは満月の日の前日までの5日間で株価がプラスであった場合、満月で相場が転換してその後の株価がマイナスになったのが、全体の48%だったことを表しています。相場の転換点だとすると、この値が5割を大きく上回ってもよいと考えます。
一方、右上の54%ですが、これは相場が満月の前まで下落していた状況のうち、満月でプラスに転換した割合です。こちらは5割を超えています。しかし、こうした分析を満月や新月にかかわらず、すべての日で計算してみても53%なので、それほど大きな違いともいえません。新月のケースも似たような結果です。
こうしてみると、満月の日に相場の転換点になりやすいことについて否定はできませんが、積極的に「転換点になりやすい」ともいえないようです。
中秋の名月の翌日は株価が上がりやすい
長々と説明してきましたが、結局、満月や新月の日には、相場の変動が大きくなりやすいとか、転換点になりやすいという2つの仮説について、今回の結果からはあまり明確に肯定はできませんでした。なんとも歯切れが悪いものです。
ただ、否定できる結果でもありません。ですので、実際の投資判断に使うというよりも、「なんとなく、そんなこともあるのかな」くらいにとどめておくのが無難でしょう。
中秋の名月に話を戻しましょう。実は、株価との関係で興味深い傾向を見つけました。
都会に住んでいると、お月見の習わしをしない方も多いでしょう。しかし、仕事帰りにでも空を見上げた時、きれいで大きな月を見たりすると、なんだか珍しく良い瞬間が見ることができたと、得した気にもなるかもしれません。このように、人々の気持ちを明るくさせることが相場にプラスに働くという話は、行動経済学の分野で研究が進んでいます。
そこで1998年以降の、中秋の名月の翌日の相場を調べてみました。休日を除いて計算したので、2017年までの13回中で9回、つまり7割程度の確率で日経平均は上昇しました。日経平均の日々の上昇確率は51%ですので、これを大幅に上回っています。ちなみに今年は、中秋の名月の翌日は25日の満月です。