はじめに

副業収入が「雑所得」の場合は要注意

前回の記事では、所得金額が20万円以下で所得税の確定申告が不要なケースでも、所得税の確定申告書を提出した方が手続的にわかりやすいというお話をしました。しかし、例外的に住民税の申告だけにした方がいい場合があります。

副業収入にかかる所得が「雑所得」に該当する場合は、計算方法が総合所得と呼ばれるものになり、その場合、所得が多ければ多いほど高い税率で税金の計算がなされます。

副業収入の支払いを受けたときに、天引きされた税率よりも、高い税率で税金が課される場合には、副業に関する(20万円以下の)所得をプラスして申告すると、高い税率で計算される所得が増えることになるので、源泉所得税に追加して税金を払わなければならなくなってしまったり、税率が上がってしまうことがあります。

少し応用編になりますが、このように高額所得者の方で、かつ、20万円以下の雑所得に該当する一定の副業収入がある方は、住民税の申告のみとした方がいい場合がありますのでご注意ください。

もし、申告を忘れてしまったら?

では、所得税の確定申告をしなければならないのに、うっかり忘れてしまったらどうなるのでしょうか。

期限を過ぎてからの申告は期限後申告となり、基本的には通常の所得税のほかに、ペナルティとして無申告加算税と延滞税をあわせて支払わなければなりません。住民税についても、所得税と同様に延滞金の支払いが発生します。

無申告加算税は、納税額が50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額とされています。ただし、税務調査が来る前に、自主的に期限後申告をした場合は軽減措置が設けられています。

延滞税と延滞金は、どちらも遅れて申告したことに対する利息の性格を有する税金です。申告する日が遅くなればなるほど、支払う金額も多くなっていくという特徴があります。

延滞税の税率は、毎年変わるのですが平成30年は、所得税の申告期限の翌日から2ヵ月以内は年率2.6%、2ヵ月後からは年率8.9%となっています(国税庁タックスアンサー「延滞税について」より)。

また、延滞金の税率は、たとえば東京都の場合、平成30年については、住民税の納付期限の翌日から1ヵ月以内は年率2.6%、1ヵ月後からは年率8.9%となっています(東京都主税局「延滞金の率」より)。

さらに、よほど悪質な場合は、重加算税といって、税額の最大40%の税金が上乗せされることになります。

このように、申告を忘れてしまうと後から余分に税金を払わなければならない事態になりかねません。万が一、申告を忘れてしまったときは、すぐに税務署や市町村の納税課に相談しに行くことをおすすめします。

副業でも税務調査はやってくる

個人事業主も法人も、税務調査の対象者となります。副業を行っている場合も個人事業主にあたりますので、当然、副業を行う個人のところに税務調査が来る可能性はゼロではありません。

税務調査が来ると、過去にさかのぼって所得を調査され、支払うべき所得税と、先に述べた無申告加算税や延滞税などの税金が追加で課されることになります。税務署は、さまざまな独自ルートで日々、所得の把握に努めています。

住宅ローンを借りる際など、さまざまな手続きを行う場面で納税証明書の提出が求められるように、税金を納めているということは信用力に繋がります。「あれ大丈夫かな?」と不安に思うくらいなら、毎年、適正な申告を行って、安心して日々の生活を送れるようにしていただければと思います。

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