はじめに

名門校出身であることのメリット

これはとても大切なことで、近年の例では公立中高一貫校が東京で11校(千代田区立になった元都立九段も入れて)できましたが、各々伝統校ですね。また、都立高校も進学重点校として指定されたのは戦前の1中、2中であったりします。

これは東京だけの現象ではなく、地方で公立の重点校や一貫校を指定する場合、よく用いられる手法で、やはり「名門」という出自は生徒を鼓舞する響きがあるのかもしれません。

実はそうした教育的な意義ばかりではなく「名門校」出身者の悪くいえば学閥あるいはコネクションは世に出て恩恵を感じることが多々あります。その多くは実利というより高信頼関係というべき見えない信用付与である場合がほとんどですが、むしろ金銭に替え難いだけに価値があると思われているのではないでしょうか。

一方で学校の機能は3つあると言われ(村井実慶大名誉教授)、それは教育機能、情報機能、選抜機能とされます。

これらの機能のうち教育機能が親世代まではあまり前面に出ず、むしろ選抜機能が注目され大学実績が公立ルートより優位にあったことがポイントでした。この時期の私立中高一貫校は戦前からの旧制中学が中核を担っていて、現在50台前後の人々の中学受験の時代でした。その後に40代前半の人の時期で、戦後の新設校も入った第一次中学受験ブームの時期を迎えます。

その後、20代前半の世代が中学受験をする頃は、ゆとり教育への危機感から私立中学が第二次ブームを迎えました。ここで前記した中高一貫化によるニューウェーブの学校も注目されるに至るのですが、そこでのポイントは、いうまでもなく教育機能です。「ゆとり」ではない教育あるいは「いじめ」「不登校」のない学校などでした。

私立中学に第三次ブーム到来

リーマンショックで近年は鎮静化した私立中学ブームでしたが、今第三次ブームになりつつあります。今回のブームはいわば2020年―2024年の大学入試改革あるいはAI時代の学校選択が要因です。「選抜」、「教育」の2機能に加え、従来とはまた新しい意味をもった「情報」機能にも注目が集まっています。それは何といってもテーマはAI時代ですから情報だというだけではありません。

子どもたちが大人になる頃(既に今もそうなのですが)には情報(知識・技能)を知っているか否かの情報化社会から、情報をどう活用するかの知識基盤社会を生きることになるので、情報リテラシーを高める必要があると言われています。

従ってそこまでの意味を含んだ「情報」機能が学校に求められ、かつ注目されているのが今回のブームのポイントです。なお、少子化が大きな前提ですからジェンダーフリーも文脈としてあります。今や普通名詞化した感のあるユニクロにはユニセックスクロスに由来したと聞いています。このように時代の流行で注目される機能に変化があります。

学校の大切にしている「不易」の部分と、時代に必要な「流行」の部分とが親の目に求められています。

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