はじめに
初心者向けの資産運用3つのコツ
1. 目的別に金融商品を使い分ける
お金を運用するうえで一番はじめに行うべきはお金に「色」をつけること。つまり、なんのために使いたいお金なのか目的をはっきりさせるということです。すると、目的ごとに最適な金融商品を選ぶことができます。
短期 | 日々の生活費 | 増える増えないではなく、出し入れがしやすいことが重要なので「流動性」を重視しましょう。 | 例)普通預金 |
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中期 | 住宅資金、進学資金など | まとまったお金が必要になるものの、使う金額や時期はあらかじめはっきりしているため「安全性」を重視しましょう。 | 例)定期預金、個人向け国債 | 長期 | 老後の資金 | 長期にわたってどれだけ資産を増やせるかで将来の余裕が変わるので「収益性」を重視しましょう | 例)投資信託、FX、外貨預金、株式 |
「流動性」「安全性」「収益性」というポイントで金融商品を紹介しましたが、もうひとつ意識してほしいのがみなさん自身の「性格」です。
金融商品のなかには、なかなか解約できないものがあります。これは人によってメリットになるかデメリットになるかが違います。すぐに解約できないとなると、不慮の事態が起こり、すぐお金が必要になったときに困ります。とはいえ、簡単に解約できてしまうと、旅行や引っ越しといった本来の目的とは違うもののために切り崩してしまう人も多いのです。自分の性格についても金融商品を選ぶうえでのポイントにするといいと思います。
さて次に、目的別に実際にどんな商品が適しているのか細かく紹介していきます。
「流動性」が一番高いのはやはり普通預金でしょう。日々の生活費はATMで簡単に引き出せた方が便利です。
「安全性」を重視した中期の運用には個人向け国債がおすすめです。金利が最低0.05%保証されているし、3年・5年・10年と自分が選んだ満期で元本が戻ってくるからです。毎月発売されているので、必要な時期に合わせて買っておくといいでしょう。
「収益性」を重視した長期の運用について、初心者におすすめしたいのは投資信託です。たくさんの資産に分散して投資することで、リスクを最小限に減らすことができます。また500円や1,000円といった少額から投資できるので、初心者でも安心です。投資信託で肩慣らしができたら株式に挑戦してみるのもいいでしょう。個別の銘柄を選ばなければいけませんが、平均で1.6%ほどの配当利回りが期待できます。株主優待があるのもうれしいところですね。
よく、結局のところどの金融商品が一番いいのかという質問を受けますが、それはやってみないとわかりません。人それぞれ資産運用の目的は違いますし、リターンは少なくてもリスクがない方がいい、リスクは少なくてもこのリターンでは物足りないなど、求めるものは千差万別です。まずは少額からでも挑戦してみることをおすすめします。
2. 時間を味方につける
資産運用はとにかく早くはじめるべきです。たとえば60歳までに3000万円貯めようとすると、30歳からはじめたときと50歳からはじめたときとでは毎月必要な積立額は大きく変わります。これは当然のことなのですが、ポイントは元本と運用益のバランスです。早くはじめた方が運用益が多くなるので必然的に元本が少なくて済むわけです。やろうやろうと思いながらまだ挑戦できていない人はとにかく早くはじめてみるべきです。
3. 分割投資する
資産にはさまざまな種類がありますが、「海外」と「国内」、「債券」と「株式」というように最低4つに分割して投資するようにしましょう。
よく外貨をもっていると、国際状況に影響される分、リスクが大きいという話を耳にしますが、円だけで資産を持っていると、円安になったとき資産の価値が一気に下がります。たとえば2011年から2012年にかけて1ドル80円から120円と40%も円安になりました。つまり自分は何もしていないのに資産価値が40%も下がったということです。だから一番のリスクヘッジは分割投資をすることなのです。
また、金融商品のトレンドが一方的に続くことはありません、また次にどの商品が上がるか、見当をつけるのは至難の業。だから、情報に惑わされず自分の目的に合わせて分割投資をしておくことが大切です。資産運用の基本はリスクヘッジをしながら長期で行うことだと、覚えておいてください。
ちなみに、投資にかける金額は毎月一定額の積立にしておいた方がいいでしょう。すると、価格の変動にかかわらず、投資にかける平均単価が下がっていきやすくなります。価格に合わせて投資する金額を変えるのは得策ではありません。また毎月自動での積立にしておくと、外的要因に振り回されず、淡々と投資を続けることができます。
積立による効果はとても大きいので、まずは一定額の積立からはじめてみましょう。
教育資金のケーススタディ
ここで教育資金の場合のケーススタディを提示しておきます。教育資金は何年後にいくら必要かあらかじめ予想をつけることができますから、学資保険や貯蓄型の保険、ジュニアNISAなど、期間が決まっているものを活用して積み立てていくといいでしょう。
最近は約50%の学生が奨学金で大学に通っていると聞きますが、ファイナンシャルプランナーという立場からすると、奨学金の利用はおすすめできません。社会に出た瞬間から数百万円の借金を背負っているということは大きなハンデです。なかなか貯蓄ができなかったり返済が滞ってしまったりという問題を抱えてしまいます。親としては、金融商品を活用して大学卒業までに必要な金額はきちんと用意してあげたいですね。
一番のリスクはやりたいことができなくなること
これまでリスクが怖い人のために、資産運用のコツやリスクヘッジの方法を紹介してきましたが、私たちの人生における一番のリスクはお金が貯まらないせいでやりたいことができなくなることではないでしょうか。そのリスクを少しでも減らすために、資産運用に一歩踏み出してみてほしいと思います。