はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は花輪陽子氏がお答えします。
今年から新社会人として働きはじめました。貯金が増えるに連れて、もっと資産を持ちたいという気持ちが強くなり、節約に励むと同時に、投資にも興味を持つようになりました。
今はロボアドバイザーによる投資信託に、資産の約4割を入れています。万が一の転職費用として、生活費の3ヵ月分ほどは現金として残しておこうと思いますが、預貯金と投資のバランスについてはあまり情報を持っていないので、どのくらいが適正かお聞きしたいです。冬になるとボーナスが入るので、もっと投資をしたい気持ちもありますが、資産のどれくらいまでを投資に回してもよいものなのでしょうか。
〈相談者プロフィール〉
・男性、24歳、未婚
・職業:会社員
・居住形態:賃貸
・手取りの世帯月収:20万円
・毎月の支出目安:12万円
・貯金:40万円
・投資:70万円
花輪: 資産形成をする場合、目的によってお金に色をつけて管理をする方法があります。「すぐに使えるお金」「貯めるお金」「殖やすお金」です。
目的別にお金を3つに分けて考える
1.すぐに使えるお金
資産運用を始める場合、手元に現金、預金をいくらか残しておきましょう。万一の生活費は「すぐに使えるお金」で備える必要があるからです。
年齢や収入の安定度合いによって異なりますが、会社員で年齢も若く、住宅ローンなども抱えていないので、比較的リスクは取りやすく、3〜6ヵ月分の生活費を最低限残しておけばよいでしょう。当面の生活費に関しては、すぐに換金できる形の安全資産で残しておけるとよいのです。
2.貯めるお金
「貯めるお金」とは1~2年以内に使用するお金のことで、相談者の場合、結婚費用や住宅購入の頭金などが該当するでしょうか。
ライフプランによって支出が発生する時期は異なりますが、定期預金や期間の短い債券などで運用をするのが向きます。
たとえば、費用のかかるライフイベントが20年後の場合は株式などのリスク資産で運用するのも一つですが、数年内に発生する場合には容易に解約ができる個人向け国債や定期預金などで準備することをおすすめします。数年内に差し迫った時には安全資産で運用する方が確実です。
3.殖やすお金
「殖やすお金」に関しては、当面使用予定のないお金で、老後資金などがこれにあたります。債券や株式などに長期投資をして、お金を殖やすことを目指します。
相談者の場合、現在は差し迫ったライフイベント費なども想定されないので、この「殖やすお金」を中心に考えて資産配分をさせればよいでしょう。ロボアドバイザーの他にも、節税効果が高いNISAやiDeCoの活用を検討するのもよいでしょう。
生活費6ヵ月分貯めたら投資へ
また現在、貯金が40万円で1ヵ月の支出が12万円なので、3ヶ月分の生活費を貯めることはできています。保守的に見積もって6ヵ月分の約80万円まで現金または預金で保有しておくのもよいでしょう。
それ以外に関しては株式や投資信託などで保有するのも一つです。月8万円投資に回せる余裕があるので、今のうちにお金を育てておくと将来楽になりそうです。