はじめに

知っておきたい相続税のこと

相続で財産を引き続いた人が払うことになる相続税。といっても相続税の計算には基礎控除があって、遺産の額が基礎控除額以下であれば相続税はかかりません。国税庁の報告によると、平成26年中に死亡した人数に対して相続税の対象となった割合は4.4%とごくわずか。

しかし平成27年に相続税法の改正があり、基礎控除額が大幅に引き下げられました。つまり、仮に平成26年までと同じ遺産額でも、相続税の対象になる人の数が増えるということ。

改正後の基礎控除額は3000万円+(法定相続人の数×600万円)。仮に法定相続人が配偶者と子ども1人なら、3000万円+(2×600万円)=4200万円です。マイホームや預貯金、投資資産、自動車など、さまざまな財産を合わせて基礎控除額を超えると相続税がかかってしまうのです。他にも死亡退職金や生命保険、相続開始前3年以内に贈与された財産なども相続税の対象です。

CHECK::相続税の申告は相続開始から10ヵ月以内。期限を越えてしまうと延滞税などの余計な税金が発生することもあります。

相続トラブル対策をしておこう

複雑で面倒そうな相続ですが、もしもの前にしっかり対策をしておけば、スムーズな手続きも不可能ではありません。財産の一覧表を作る、預金通帳・保険証券などをひとつのファイルにまとめておくのもその一つです。

次に、「争族」を避けることを考えて、さまざまな相続手続きには相続人全員の同意書や遺産分割協議書が必要です。分割協議が整わず、全員の同意がなければ相続手続きも相続税の申告もできません。生前から家族間で財産状況や分け方の確認をしておくことや、遺言を残しておくことも円滑な相続手続きのための大切なポイントです。

金銭面の対策も忘れずに。相続財産の大部分が不動産という場合、金銭のように均等に分け合うというわけにはいきません。売却してお金に換えて分ける方法もありますが、住居として住む家族がいればそれも難しくなります。預貯金など流動性の高い財産への分散や、生命保険に加入しておくのもよい対策でしょう。

CHECK::生命保険は、相続税計算の際に別途控除額がある節税メリットのある相続財産なので検討の価値もありそうですね。

家族環境が多様化し、相続人間同士のつながりが稀薄になっていることも多い昨今、相続人への連絡や書類を揃えるだけでも時間がかかることもありますし、相続の話し合いにも相当な労力や、場合によっては弁護士費用や相続税の延滞金など無駄なお金がかかることもあり得ます。生前に対策を立てておくことで、これらの無駄を省くことができますよ。

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