はじめに
全ての生命保険控除を使って、税制メリットを得るには?
では、生命保険料控除を使った場合、実際にいくら税金が安くなるのでしょうか。所得税率が10%の場合を例に計算してみましょう。
新契約で年間保険料が8万円超の場合、所得税の生命保険料控除は4万円です。
4万円×10%(税率)=4,000円
住民税の場合の保険料控除は、年間保険料が5万6,000円超の場合、2万8,000円です。住民税の税率は10%ですから、2,800円税金が安くなります。
生命保険料控除は、一般の生命保険、個人年金保険、介護医療保険の3つの枠があるので、最大限に利用した場合は、所得税と住民税を合わせて2万400円節税できます。
(4,000円+2,800円)×3=2万400円
ここまで見てきてお分かりのように、年間8万円以上保険料を支払っている場合には、どんなに多く支払っていても所得控除の金額は4万円です。ですから、8万円が節税の効果が一番高く、それ以上支払っても節税の効果は低くなります。
さらに旧契約の場合には、生命保険と個人年金保険にそれぞれ10万円超支払っていた場合には、5万円の所得控除があり、所得税率が10%のとき5,000円安くなります。住民税は年間保険料が7万円超の場合3万5,000円の控除なので、税率の10%をかけると3,500円です。所得税と住民税を合わせると8,500円の減税になります。
このように旧契約では、生命保険と個人年金保険の2つの枠を利用した場合には、最高1万7,000円の減税ができます。10万円の年間保険料の支払いが節税効果は最も高いことになります。
介護医療保険控除については、ご自身の医療保険だけではなく、親御さんのために介護保険に加入するのも一案です。ある終身介護保障保険で一時金120万円、年金60万円(死亡保障解約返戻金なしの場合)の加入例です。(保険料は月額)
40歳 男性 3,960円 女性 5,340円
55歳 男性 7,320円 女性 1万20円
もし保険の見直しをするとすれば、子どもが増えたときや転職・独立したときには保障額の増額の必要がありますし、マイホームの購入で団体信用生命保険に加入、子どもが独立するなどすれば、減額してもよいでしょう。
ただし、生命保険料控除で税金が安くなるとはいえ、不必要な保険に加入するのはムダな支出になり本末転倒ですから注意しましょう。
また、個人年金保険については、メリットとデメリットを知ったうえで契約する必要があります。個人年金保険は、個人年金保険料控除を使って節税しなから老後資金を準備できることがメリットですが、現在は予定利率が低く、将来インフレ(物価が上がること)になったときには、契約した低い利率が適用されるので、インフレに弱いという面があります。また、加入している期間が短い場合、中途解約すると元本割れすることがあります。
個人年金保険では対応が難しい、インフレ対策には、投資信託、株、不動産などを資産に組みいれる必要があります。また、老後資金のための貯蓄であれば、iDeCo(個人型確定拠出年金)の方が個人年金保険よりも節税効果を得られながらお金を貯めることができます。
年末調整や確定申告の際の注意点
保険料控除証明書は、年末調整や確定申告の手続きのために必要なものです。ハガキが届いたら保管をしておきましょう。万が一紛失してしまった場合は、再発行することができます。保険会社に連絡して再発行の手続きを取りましょう。
もし年末調整に間に合わない場合でも、確定申告をすることによって所得から控除することができます。さらに5年間は還付の確定申告をすることができるので、あきらめないでくださいね。
さらに、保険をかけていて中途解約した場合でも支払った保険料は、その年の生命保険料控除に含めることができます。せっかく支払った保険料です。もれがないように年末調整や確定申告の際、生命保険料控除証明書を使用してくださいね。