中学受験に関する数字を森上教育研究所の高橋真実さん(タカさん)と森上展安さん(モリさん)に解説いただく本連載。

年々過熱の一途を辿っていると言われる中学受験ですが、実際のところはどうなのでしょうか。今回は、「中学受験にチャレンジする子どもたちってどれくらいいるの?」というお話です。

今回の中学受験に関する数字…13.7%


首都圏の中学受験率は?

<タカの目>(高橋真実)

前回のコラムでモリの目さんが「私立中学に第三次ブーム到来」と書かれていましたが、そもそもどのぐらいの子どもが中学受験にチャレンジするのでしょうか。

森上教育研究所がまとめた首都圏(1都3県)の私立中学受験率を見ると、今年の私立中学受験率は13.7%。2001年の12.1%から首都圏の私立中学受験率は右肩上がりとなり、2008年にはピークの14.8%を迎えました。

しかし、リーマン・ショックによる経済低迷の影響を受け、その後は緩やかな下降カーブに転じ、2015年には12.2%となりました。その後、再び上昇カーブに転じ、今年の受験率はリーマン・ショック直後の2009年レベルに迫る勢いとなりました。関西圏(2府4県)は9.79%(進学情報誌さぴあ調べ解禁日応募率)で、こちらも2014年の8.97%から上昇傾向に転じています。

ちなみに全国の中学生に占める私立中学の生徒数の割合は7.3%。首都圏のみでは13.6%となっていて、マーケットの大きさがここでも際立っています。

多くの私立中学校がある東京都でも、受験率は地域によってその差は小さくありません。周囲で私立中学を受験する子どもが少なく、小学校のクラスでは受験を内緒にしている子どもがいるという地域があると思えば、都心のある公立小学校のように、2月1日(都内私立中学入試解禁日)に出席した6年生児童はたった1人だったというところもあります。中学受験を考える親としては、こうした地域や小学校の環境も気になるところです。

さて、2019年の中学入試の受験率はどうなるのでしょうか。

首都圏で受験生の多い地区の大手塾では、小学校4年生以上の、いわゆる進学クラスの入塾希望者が増えて満席状態となり、低学年から席を確保するために入塾させるご家庭も増えているのだとか。毎年ゴールデンウィーク期間中に横浜で開催されている神奈川県私立中学相談会の来場者数は、今年、リーマン・ショック前の数字までほぼ回復しています。

タカの目さんが書かれていたように、大学入試改革の影響大といったところなのでしょうか。だとすれば、私立中学にとって、しばらくは追い風が吹くということなのでしょうか。

中学受験率とは何か?

<モリの目>(森上展安)

タカの目さんが今回取り上げた「受験率」ですが、実は「公式」の数字はありません。そのような統計を取っているところはお役所にはありません。お役所にある数字は中学入学後の各学年の国公私立中学在籍者数です。東京の私立中学在籍者数は、都内全体の24.4%です。これに高校入試から私立に進学する生徒が加わり、私立高校の在学者は、都内の全日制高校でみると全体の57.7%になります。(文部科学省「平成29年度学校基本調査」より)

つまり東京都では一学年全体を100とした場合、中学で25、高校で30が私立に進学していることになります。私立小学校の在籍者は都内では全体の4.2%ですから、私立中学からの進学者は約20%ということになります。

約20%というと、タカの目さんの示された受験率13.7%の母集団は一都三県。20%の方は東京都だけが母集団。もし東京都でも三多摩と23区とに母集団を分ければ大きな差があります。ちなみに都心はとりわけ数字が高く、中央、港、千代田、品川などは恐らく40%を超えているはずです。勿論、それ以外はほとんど公立中学ですが、公立中高一貫校もそこには含まれます。

ここに表れた在籍比率の差の原因は1つには「そこに私立中学があるから」という供給力によるものです。しかし、そのような供給力も強い需要があるから成り立つので、その需要は教育投資を長期にわたってできる家計の存在があるからこそ生じているのです。

当然、家計ですから可処分所得の多寡が景気変動によって生じます。過去の受験率の変化は概ね景気変動によるもので、東京の私立中学の戦前の東京の私立中受験率は15%くらいだったという調査もありましたが、当時は限られた富裕層でした。戦後は中間層の増大で戦前と同じ都心部に限れば約40%の私立中進学率からすると(受験率は当然、それを上回るにしても)受験倍率2倍とすると80%の受験率になります。戦後の中間層の増大が私立の需要増加をもたらしているわけです。