妊娠、出産は人生の一大イベント。妊娠が分かった瞬間から、産院選びや赤ちゃんグッズの購入、果ては教育費まで、お金のことを含めた今後の生活についてを計画的に考える人も多いのではないでしょうか。

赤ちゃんの誕生は誰にとってもハッピーなもの。でも、その一方で見過ごせない問題も起きています。それは、出産後に自ら死を選ぶ女性が後を絶たないという現実です。


亡くなった妊婦の約3割が自殺

医療技術の向上などにより、日本の妊産婦死亡率は年々減少傾向にあります。しかし、最新のデータによると、妊娠中から産後1年未満の女性の死亡原因で最も多い死因は「自殺」。2015年1月1日から2016年12月31日までの2年間で亡くなった妊産婦の約3割が自殺で、うち9割が出産後1年以内だったのです(「人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状」、国立成育医療センター、2018年9月)。

自殺の主な原因としてあげられるのは「産後うつ」。出産をきっかけに憂うつ感などの気分の変調が現われるもので、育児への不安や孤立感などがリスクを高めるとされています。また、自殺という最悪のケースにまでは至らなくても、育児放棄や虐待につながる可能性も指摘されており、行政も動き出しています。

東京都では23区のうち19の区が育児支援ヘルパーの派遣や家庭への訪問などの産前・産後ケアに取り組んでいますが、なかでも品川区は自治体として初めて、大学院と連携した産後ケアに乗り出しました。

「産後はリラックスできる機会がなかった」という利用者の声

品川区の産後ケアは3タイプに分かれています。3つのうち最も早くスタートした「日帰り型産後ケア」は、品川区内のホテルを利用した、産後の母体ケアやリフレッシュを目的としたもの。「産後は1人でご飯を食べることもできない」「髪を乾かす時間がない」という女性も多いなか、ここでは助産師が相談に乗ってくれるだけでなく、子どもを預けて室内で体を休めたり、1人でルームサービスの昼食をゆっくり取ることもできます。

品川区の産後ケア事業を監修する東京医療保健大学の米山万里枝教授は「育児の不満を家族に打ち明けても、『子育て中なんだから』と言われてしまうことも。日本はまだまだ『お母さんなんだから仕方がない』という意識が高いのが現状です」と話します。また、「気分転換をしたくても安心して預けられる人がいない」という人もいるでしょう。

利用時間は4時間、産後4カ月までという制限はありますが、「産後はリラックスできる機会がなかったので、ゆったりと過ごせてよかった」「助産師なので安心して子どもを預けられて、リフレッシュできた」という声が上がっているそうです。

品川区の「日帰り型産後ケア」は生後4カ月まで利用可