はじめに

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は野瀬大樹氏がお答えします。

今まできちんと関わってこなかった「お金」と向き合いたいと思っています。これまでお金の管理をしようと、家計簿にチャレンジしては挫折し、投資にチャレンジしようとしては、あと一歩が踏み出せず、結局資産をただ預貯金に積み上げている状況です。お金と向き合えるようになるためのアドバイスをお願いします。


〈相談者プロフィール〉
・男性、30代前半、既婚


野瀬: これは以前、出版業界の人に聞いた話なのですが、出版業界には「これを出しておければ絶対に売れる!」という、以下のような鉄板3ジャンルがあるそうです。

(1)英会話: 毎日たった1時間であなたもネイティブに!みたいな本。
(2)お金: みるみるお金が貯まるたった5つのシンプルな習慣!みたいな本。
(3)ダイエット: 何々するだけでダイエット!みたいな本。

これらがどうして売れるのかというと、(1)から(3)には同じ特徴があるからです。

それは、これらはすべて「苦労しないと手に入らないもの」だとわかっているのに、何とかして楽して手に入らないかと日々考えているものであることです。だから、なんとなく楽して手に入りそうなタイトルの本を買って帰るものの、1年たってもそれらが結局手に入るはずはなく、結果として1年後に「たった30分で」「たった3つのシンプルな習慣」「これだけでダイエット」というタイトルの本をまた買ってしまうから、これらの本は継続して売れるのです。

「簡単には貯まらない」できるとこからコツコツと

ここから導きだされる結論として、まず押さえておきたいのは「お金は簡単には貯まらない」という世の中の真理をまず再認識することです。これは英会話もダイエットも同じです。楽な方法はありません。

そして、その真理を知った上で、どうすれば良いかなのですが、これは毎日コツコツできるところから、とにかく続く方法や習慣を身につけていくとよいでしょう。

ダイエットのためにいきなり「毎日10キロ走る!」という計画を立てても、それは無理です。まずは続けることを目標にして3キロあたりから始め、そこから徐々に負荷をあげていくのです。

同じように、お金に関する習慣もできるところから“続ける”を意識するとよいでしょう。

支出を眺めるクセをつける

私がおすすめする、お金を管理する第一歩は「通帳を見る」です。「え? 何を簡単な」と思うかもしれませんが、これには条件があります。

ATMからお金を引き下ろす度に、その用途をしっかり通帳に手書きで書いておくのです。たとえば「飲み会」とか「友達の結婚式」などです。これは本当にざっくりの使い道で構いません。10000円引き出し、6000円が飲み会の費用であれば「飲み会」と書くだけで結構です。

こうすることで、クレジットカードの明細とあわせれば、立派な家計簿のできあがりです。通帳とカード明細を見るだけで、おおむねの家計管理ができるので「はじめの一歩」にはおすすめです。

通帳の場合であっても、家計簿アプリを利用している場合であっても、大切な第一歩はそれらを眺める習慣をつけるということです。月に一回通帳を眺める、家に帰ってネットをする時に必ず一度家計簿アプリを眺める、こういった習慣を続けるうちに「この支出はマズかったな」「どうやったらお金は増えるんだろう」など、前向きな疑問がどんどん浮かぶようになります。

ですから、家計管理の第一歩、“眺めるクセ”をつけるようにしてください。

投資を始めればイヤでも興味がわく?

次は投資についてですが、これは簡単です。「口座を開いて10万円以内で株か投資信託、もしくは日経平均インデックスを買う」以上です。

人間ゲンキンなもので、自分のお金を投資してしまうと、その価格の上下が気になって気になって仕方がないものです。

私も投資をしていなかった時代は、会計士という仕事にもかかわらず、日経平均株価などほとんど見たことがなかったのです。しかし、たとえ5万円でも投資を始めてしまうと、毎日株価やそれに影響を与える為替相場が気になって仕方がなくなります。ですから、まずは10万円以内で投資をスタートしてみてください。どんどん経済に興味が湧いてくるようになります。

「勉強しなきゃ!」と思ってもなかなか勉強できないので、まずは少額を「ホイッ」と投資の世界に放り込んでみましょう。イヤでも興味が湧いてきます。