はじめに

消費税の増税延期、ブレグジット、アメリカ大統領選でのトランプ氏当選と、2016年は波乱の中で幕を閉じました。2017年1月には、いよいよトランプ大統領が誕生し、アメリカの利上げや日本の株高が続けば、2016年8月に底打ちした住宅ローン金利は今後じわじわと上がっていくかもしれません。

もしも金利が上がったら、「変動金利」で住宅ローンを借りている人にはどのような影響が出るのでしょうか。できる対策とともに考えてみましょう。


金利が上がっても、返済額は変わらない?

住宅ローンを変動金利で借りている場合でも、多くの銀行では金利が大きく変動しても、返済額はあまり変わらないという仕組みがあります。これには2つのルールがあり、「5年ルール」と「1.25倍ルール」といわれています。

借り入れから1~5年、6~10年の5年区切りの間は、毎月の返済額を変えないというのが「5年ルール」です。「5年ルール」が適用されると、金利が変更されても返済額は変わりません。

この場合、金利が上昇すると返済額に占める利息の割合が減ってしまい、思ったより元本が減らないということになるため注意が必要です。もちろん、利息負担が増えることでローンの総支払額も増えることになります。

加えて、5年ごとの返済額見直しタイミングで金利が上がっていても、今までの返済額の1.25倍までしか返済額を増やさないという「1.25倍ルール」が適用されます。こちらも返済額がおさえられる一方で元本返済が遅れることになるため、利息負担が増えて、トータルの支払額は増えることになります。

変動金利はどうやって決まるのか

変動金利は、日本銀行の政策金利の影響を受けて決まる「短期プライムレート(通称:短プラ)」という、銀行が企業に融資する際の金利をもとに決定されています。この短プラはもちろん変動しますので、金利も本来は毎月変わってもおかしくありません。ただ毎月計算しなおすのはかなりの手間と費用がかかるため、多くの銀行では金利の見直しは年に2回だけ行われています。

さて、この年に2回の金利見直しで変動金利が上がったらどうなるのでしょうか。

仮に今までの返済額が毎月10万円だったとします。途中で金利が1.0%から2.8%に上昇すると、返済額は毎月13万円ほどになるはずです。しかし先ほど述べた2つのルールがあるため、この場合でも5年の区切りがくるまでの返済額は10万円のままです。また返済額が変更となるタイミングがきても、返済額は毎月12万5千円までしか増えません。

急な負担増とはならない一方で、やはり元本の返済がなかなか進みません。このまま当初の借入期間である35年が過ぎてしまうと、そのときに残金の一括返済を求められるケースが一般的なので注意が必要です。

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