はじめに

わが家の金利はなぜ変わらないのか

とある銀行の2001年からの住宅ローン金利(店頭表示金利)の推移をグラフにしました。こうしてみると、21世紀に入ってからはほとんど金利が変動していないことがわかります。

変動金利で住宅ローンを借りている方には、「世間では金利が下がったといわれているのに、我が家の金利が下がらないのはなぜ!?」と気になっている方がいるのではないでしょうか。銀行の店頭表示金利は、確かに変動していないのです。

ではなぜ、あなたより後で住宅を購入したあの人の金利は低かったのでしょうか。これは、「優遇金利」が適用されているからです。この優遇金利がくせ者で、借り入れをするタイミングによって優遇される率が異なります。

つまり、数年前に比べて今の方が優遇金利の割引幅が大きくなっているため、金利が下がっているように感じるのです。また優遇金利には、借入期間の間中ずっと優遇金利が適用される全期間引き下げタイプもあれば、借りはじめの金利を特に引き下げ、一定期間経過後に引き下げ率が変わるタイプもあります。借りはじめの金利優遇幅が大きいタイプでは、一定期間経過後に利率が上がることになりますのでご注意ください。

それでも変動金利はお得!?

バブル期には8%を超えていた変動金利ですが、今は優遇金利が適用されると1%をきるのが常識となってきました。これは、固定金利タイプに比べてもお得なのでしょうか。

今はマイナス金利政策もあり、超低金利の時代といわれています。これ以上金利が下がることはない、と誰もが思っているのではないでしょうか。となると、今後の金利は上昇するしかありません。その金利上昇リスクを回避するためにあるのが「固定金利」です。借りる側は金利が固定されるため、金利上昇リスクは銀行側が負うことになります。そのため通常は変動金利に比べ、固定金利の方が利率は高くなります。

まれに10年固定金利などで変動金利よりも安い利率が適用されることがありますが、この場合10年後には変動金利が適用されることになります。最初から変動金利で借りていた人に比べると、金利の優遇幅は小さくなることでしょう。こうして銀行側は利益を確保することができ、借りる側はずっと変動金利で借りていた方がお得だった、ということもあるかもしれません。

金利の上昇リスクにそなえるため、変動金利で借りている人は、収入における住宅ローンの返済比率を低めに設定するのが賢明といえるでしょう。また10年固定金利などで借りている場合は、10年後に一括繰上げ返済を目指すくらいが丁度良いのではないでしょうか。一括返済が無理でも繰上げ返済をすれば元本が減るため、その後の金利負担を少しでも減らすことができるからです。

今後の金利動向に注目しつつ、一年のはじめに住宅ローン完済までの計画をたててみるのも一興ではないでしょうか。

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