はじめに
2018年も残りわずか。毎年、年末になるとにぎわうのが「ふるさと納税」の駆け込み需要です。
ふるさと納税という言葉自体は今や認知度が90%を超えるものの、実際に行っている方は15%という話もあります。あと一歩が踏み出せていない理由として「具体的なメリットがわからない」「手順がわからず面倒だ」という声を耳にします。
そこで今回は、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営する、トラストバンクの広報・田中絵里香さんにインタビュー。ふるさと納税の手順やメリット、ふるさとチョイスの活用法など、これから初めてふるさと納税を行う方、行ったことはあるけれど今年のお礼の品を迷っている方にとって必読のお話を聞きました。
※サブタイトルの「利用率」は2018年10月11日~12日 調査委託先:マクロミル
ふるさと納税は「応援したい地域への寄附」
――そもそも、ふるさと納税とは何なのでしょうか。
田中さん(以下同): 一言で言うと、「応援したい地域へ寄附ができる制度」です。地方で教育制度や医療制度などの住民サービスの恩恵を受けて育ちながらも、進学・就職などで都会に移り住み、住民税を納めることによって、都会と地方とでは税収の格差が広がっています。
そこで、「ふるさとへ“恩返し”をする方法はないか」という問題提起から始まった制度です。実際には、生まれ故郷以外にも、応援したい地域に寄附ができるようになっています。
――寄附する側のメリットは?
1つは、寄附金の使い道を指定して地域を応援できること。ふるさと納税で集まった寄附金を何に使うか、自治体が予め設定している寄附金の使い道を選択して寄附をすることができます。通常納めている税金が何に使われるかは、分かりづらいことが多いですが、ふるさと納税なら、「自分の意思を乗せて寄附ができる」制度でもあるのです。
2つ目は、お礼の品です。送られてくるお礼の品により、その地域の魅力を肌で感じることができます。自治体によっては、お礼の品以外にも、観光パンフレットやお礼の手紙が送られてくることもあります。
寄附するまでは、全然知らなかった、漢字の読み方すらわからなかったような自治体を知り、より興味を持つきっかけになります。ただ、お礼の品はその名の通り、あくまで寄附へのお礼。「せっかく応援していただいたのだから、地域のおいしいものを食べてほしい、名産品を知ってもらいたい」という自治体の気持ちから始まったものなんです。
最後は、税の控除が受けられること。寄附控除額の上限までなら、実質自己負担額2,000円で好きな地域に寄附ができるんです。まとめると、好きな地域に寄附ができ、お礼の品がもらえ、そのうえ税控除が受けられる制度です。
ステップはたった3つ
――好きな地域を応援しつつ、お礼の品がもらえ、節税にもつながる。魅力的ですが、手続きが面倒そうで、ハードルを感じます。
ステップはたった3つです。まず、自分がいくらまで控除内で寄附できるのかを調べましょう。ふるさとチョイスでは、還付・控除限度額計算シミュレーションを用意しているので、簡単にわかります。
控除上限額の目安が一目でわかる表や、家族構成と年収を入力するだけで控除上限額が計算できる「かんたんシミュレーション」、社会保険料や医療費控除、住宅ローン控除なども含めて計算できる「詳細シミュレーション」があります。大体の目安だけ知りたい方や、詳しく知りたい方など、お望みの方法で調べられます。
2018年の寄附控除上限額は、2018年1月から12月の収入で決まります。そのため、正確な金額は2018年の源泉徴収票をもとに計算する必要がありますが、会社員の方などで、昨年と大きく収入などが変わらない場合は、昨年の収入をもとに計算することで、おおよその目安をつけることができます。
――たとえば、結婚していて年収600万円、共働きで配偶者控除がない場合は?
実質負担2,000円でできる寄附金額上限の目安は、7万7,000円ですね。
次に、寄附控除上限額がわかったら、寄附先を選びます。応援したい地域から選んだり、お礼の品から選んだり……。迷ったら、特集やランキングから。「米」「肉」などのカテゴリーからも選べます。ふるさとチョイスでは、寄附の申し込みからクレジット決済まで、オンライン上で簡単に手続きができます。
佐賀県鹿島市のお礼の品 例(※定期便のため内容は変更となる可能性がございます)
最後は、申請の手続きです。寄附した自治体から、寄附金の領収書となる寄附金受領証明書が届くので、それを大切に保管しておきましょう。
――控除を受けるため、住んでいる自治体に「この額をこの自治体に寄附しました」と知らせなければならないんですよね。その場合、確定申告が必要なのでしょうか。
「ワンストップ特例制度」を使えば、確定申告する必要はありません。ふるさとチョイスで申し込むとき、「ワンストップ特例制度を使う」にチェックを入れてください。
ただし、この制度が使えるのは、会社員など、もともと確定申告をする必要がない方。また、1年間の寄附先が5自治体までの場合です。寄附金受領証明書と一緒に送られてくる書類(ワンストップ特例申請書)に必要事項を記入し、個人番号確認書類と本人確認書類のコピーを添えて、寄附先の自治体に郵送すれば完了です。
もう1つは、確定申告をする方法です。ワンストップ特例制度では、寄附した都度寄附先の自治体に書類を郵送する必要がありますが、確定申告の場合は、1年間分の寄附金受領証明書をまとめ、必要書類を添付して、居住地の自治体への1回の郵送で済むのがメリットですね。また、ワンストップ特例制度での申請と確定申告では、税の控除の方法や時期が異なりますが、控除される金額は変わりません。