はじめに
「投資はリスクを伴う」とは、聞いたことぐらいあるという人が多いでしょう。投資をすれば、時として損することもある、というわけですね。そう、投資に「絶対」はあり得ません。将来何が起こるか分からないからです。
今回も前回記事:身の回りの生活から運用まで…「リスク」っていったい何だろう?に引き続き、「リスク」について考えます。
どうして債券は「リスクが低い」?
誰でも得をするつもりで、何らかの見通しをもって投資するのでしょうが、どんなに正しそうに思える見通しでも、あとになって振り返ってみれば、多くの場合外れているものです。
「リスクを伴う」というのは、「自分の見通しは結構外れるものだ」ということでもありますね。一寸先は闇、などというではありませんか。確実なことなど何も無いのです。どうなるか分からないことばかりです。
それでも「リスクがない」とか「リスクが低い」というものはあります。確実なものなんてないのに、どうして「リスクがない」などということがあるのでしょう。
債券の方が株式よりもリスクが低い、ということに、あまり説明は必要ないでしょう。株式はいつ、いくらになるか分からないのに対し、債券は期ごとにもらえる利息も決まっていますし、満期までじっと持っていれば、最後に手に入る金額も決まっています。ですから結果がほぼ確実に分かっているわけです。それでもリスクがゼロというわけにはなかなかいきませんが、かなりリスクの低い投資対象です。
さて、債券が発行されて私たちがそれを買うと、その資金は債券を発行した団体が手にします。社債であればその社債の発行会社です。その資金は当然ながら、事業の運転資金になったり設備投資に回ったりすることになります。雑貨を仕入れて販売する会社であれば、商品を仕入れたり、店舗を改装したりするでしょう。
そうやって雑貨を売って上がった利益から、債券の保有者である私たちに、利息を支払うわけです。
仕入れた商品が、いつも思惑通りに売れるわけではありません。顧客の好みに合わないかもしれないし、景気が悪くなって財布のひもが堅くなるかもしれません。会社は利益が出せるとは限らないのです。先を読むのは難しいもの。どんな会社も、常にリスクを負って事業を営んでいるのです。
こんなふうに、私たちが金融商品を通じて投資した先には、事業のリスクを負っている会社があるのです。それでも債券を持っている私たちには、決まった期限に決まった利息が支払われます。事業で損失が出ても、利息は支払ってもらえるのです。
世の中は不確実なことばかりでリスクに満ち満ちていますが、債券を発行する会社が、そのリスクを代わりに負ってくれるお陰で、私たちはリスクの低い投資をすることができているわけです。