はじめに
働き方によっても背負うリスクは様々
投資に限らなくても、私たちがリスクのない、またはリスクの低い選択をする時、そこには代わりにリスクを負ってくれている「誰か」がいるはずです。
たとえば私たちは皆、何か仕事をして生きているわけですが、働き方には色々なスタイルがあります。自営のスタイル、終身雇用スタイル、派遣など期間限定のスタイル等々ありますね。
自営であれば、何でも自分で決める自由がある代わり、現実世界の波風をそのまま被ることになります。利益は全部自分のものになる代わり、上手く行かなければ収入が無くなります。
一方、終身雇用を前提に就職すれば、事業の調子が悪くても、決まった給料が支払われます。会社がある限り、収入は途絶えません。そして派遣のような雇われ方ですと、働いている期間であれば事業が不調でも決まった給料が支払われますが、雇用契約が終わってしまう可能性があります。
こうして見ると、雇用スタイルを選択するにあたって最もリスクが高いのは自営、次が期間の限定された雇用、そして終身雇用型が最もリスクの低い働き方です。終身雇用を前提としていれば、雇う側の会社は事業が上手く行くかどうか分からないというリスクにさらされていても、そのリスクが働き手に及ばないのです。
それはそのリスクを会社がすべて負ってくれるからです。期間限定のスタイルでは、働き手がリスクの一部を負うというわけです。
最も信用されている債券とは?
リスクの低い選択をしても、自分の代わりにリスクを負ってくれる「誰か」がリスクを負えなくなってしまう可能性はあります。終身雇用で雇われても、会社が倒産してしまえば失職してしまいます。
安定した利息をもらえる債券も、発行している会社が深刻な苦境に陥ったり潰れたりすると、もらえるはずのものがもらえなかったり元本も無くなってしまったりします。リスクは基本的にはゼロにはならないものです。
債券の世界で、最も信用されているのは国の発行する国債です。リスクを負ってくれるのは国であるわけです。国家の収入といえば、国民の納める税金です。何千万もの国民がまじめに働いて納める税金から、最優先で支払われるのが国債の利息です。
ですから何が起きるか分からない中でも、一番信用されている債券なのです。国家であっても破綻することが無いわけではありませんが、国債は「リスクのない債券」として扱われるのです。
未来は予想できないのが当たり前。私たちはリスクとともに生きています。目の前にリスクのない選択肢が現れたら、自分の代わりに誰がリスクを負ってくれているのか考えてみてください。それが信頼に足る相手でなければ、リスクは自分が負うことになりますから。