はじめに
1年間に支払った医療費が10万円を超えると適用になる「医療費控除」は認知度が高い制度ですが、2017年1月から導入された「セルフメディケーション税制」を知っているという人はまだまだ少ないのではないでしょうか。
大正製薬が調査したところ制度の認知度は16%との結果に。この制度、市販薬の購入費用が年間1万2,000円を超えると減税されるというもので、適用になる一般家庭は少なくないはず。そこで制度の概要とその活用方法をご紹介します。
セルフメディケーション税制とは
2017年1月からスタートしたセルフメディケーション税制ですが、そもそもセルフメディケーションとは、世界保健機関(WHO)によると「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されています。高齢化が進むなか、多くの人がますますセルフメディケーションに取り組むことが求められるようになるでしょう。
セルフメディケーション制度とは、簡単にいうと、日頃より健康増進、病気予防に努め、ちょっとした病気であれば病院に行かず、市販薬を服用して自分自身で治療をする場合には、税金面で優遇しますよという制度です。
具体的には、日頃より健康増進、病気予防に取り組んでいる人(生計を一にする家族の分も合算できる)が 2017年1月1日から2021年12月31日までの間に対象となる市販薬を購入し、1年間に支払った金額が1万2,000円を超えるときは、その超える部分の金額(最高8万8,000円まで)について所得税が一部還付され、翌年の住民税が減税されます。
式で表すと以下になります。
> 控除額(最大8万8,000円)=医薬品代金-1万2,000円
どれくらいお得になるのか
では、この制度を利用するとどれくらい減税されるのでしょうか。
例えば、年収からもろもろ所得控除を差し引いたあとの課税所得が450万円の世帯で本人、家族の分あわせて1年間で市販薬を7万円購入したという場合。
課税所得が450万円なので所得税の税率は20%。住民税の税率は所得にかかわらず一律10%です。
控除額=7万円-1万2,000円 つまり、5万8,000円となります。減税額を見てみると、
- 所得税:1万1,600円の減税効果(5万8,000円×20%)
- 住民税:5,800円の減税効果(5万8,000円×10%)
となり、所得税、住民税合計で1万7,400円が減税になります。
今まで支払いっぱなしだった薬代が減税という形で戻ってくるので、該当する人は活用しない手はないですね。