はじめに

冬のスポーツといえば、スキーやスノーボードをイメージする人も多いでしょう。しかし、もっと気軽な運動、ランニングもシーズンが本格化します。特に12月辺りから翌年春先にかけて、各所で多くのマラソン大会が予定されています。

実はこのマラソン、株価ととても深い関係があるのです。今回はマラソンと株価の関係を紹介しましょう。


ジョギングと株価の常識的見解

皆さん、「このところ運動不足かな」と感じる時はありませんか。体重が気になったりすると、何か運動を始めようかなど、考えたりもします。この際だから、ジムに入会しようと思う人もいるでしょう。

ただ、ジムにもいろいろあって、月に1万円程度の費用もかかったりします。続くかどうかよくわからないし、入会までするのは……と考えると、気軽に始められる“ジョギングでもしてみようか“と考える人も多いでしょう。

近年は、休日や平日、時間を問わず街中でも走っている人をよく見かけます。やはり健康でないと、仕事をしていてもしんどいし、お食事も美味しくなかったりします。健康志向が高まる中で、ジョギングする人が増えている印象があります。

ところで、このジョギングですが、安くて気軽なスポーツの代表というイメージです。そんな“お手軽スポーツ”が流行るというのは、どちらかといえば“景気が厳しい時”だと考えられます。

お金に余裕があるなら、ジムに入会したり、あるいはテニススクールやゴルフ教室に通うこともあるでしょう。そう考えると、走っている人を多く見かけたら、景気や株価は余り良くないんだな、と連想したりもします。

東京マラソン申込者は1万人超の増加

それならと思い、実際にデータで調べることにしました。ところが、なかなか“走っている人”のデータを取るのは難しいものです。実際のところ、日本国内にどれくらいのランナーがいるのでしょうか。

そこで、マラソン大会に目を付けてみました。大会の申込者数のデータを使ってみます。“走ること”自体が人気ならば、マラソン大会の参加を希望する人も増えると考えたからです。

わが国で代表的なマラソン大会の1つといえば「東京マラソン」です。2007年に始まり毎年1回行われる、一般市民が参加する大会として人気です。東京都庁をスタートして銀座など東京の中心地を通り、皇居前の行幸通りにゴールします。

次の開催は2019年3月3日ですが、申し込みは今年の8月末に締め切られました。そして9月4日に東京マラソン公式ウェブサイトで、一般の申込者数が発表されました。33万0,271人で、倍率は12倍を超えています。申込者数は前年と比べて1万0,494人増えました。

申込者数が増えると株価も上昇?

そこで、この申込者数の前年との比較をグラフ化してみました(図1の赤線)。合わせて、株価もグラフにしています。日経平均株価を使って、前年3月末との比較の値です(図1の青線)。

「東京マラソン申込者数の前年差」は、直近では1万人を上回って増えました。発表は今年の9月でしたが、実際の大会は来年3月ですから、図1では2019年3月としてグラフを描いています。こうした動きを受けて、日経平均の来年の3月末はどのようになると考えられるでしょうか。

前述したように、“お手軽スポーツ”であるジョギング人気が高まると、株価は弱くなるのではないか、と直感的には考えられます。となれば、2つのグラフ(赤線と青線)は反対の動きをするはずです。しかし、過去からのグラフの動きを見ると、逆に動くというよりも連動しているように見えます。

むしろ、赤線の東京マラソンの申込者数が少し先行しているようにも思われます。たとえば、2009年の申込者数は急騰しました。対する日経平均は、2009年3月こそ前年に起きたリーマンショックの影響から厳しい状況でしたが、翌2010年には株価が大幅上昇しています。

つまり、東京マラソンの申込者数が増えると、その後の株価も高まる傾向が見られるということです。これは当初の予想と逆の動きです。なぜこのような関係になるのでしょうか。

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