はじめに

リボ払いはなかなか完済できない

クレジットカードの支払い方式は、「リボルビング払い」だそうですね。支払いが一定になりますし、利用可能額の範囲では何度も繰り返し使えることは魅力です。一見、計画的に利用しているようにも見えますよね。ですが、このリボルビング払いは、少々厄介な支払い方です。

リボルビング払いの金利手数料は約15%であることが多いもの。そして、毎月の返済額には、元金とその金利手数料が含まれています。返済した金額のすべてが、利用残高から減るわけではありません。

支払いをしてまた買い物をしてということを繰り返し、1年間50万円の利用額を保っていたとすると(こういうことはあまりありませんが便宜上です)、金利手数料は1年間で7万5000円にもなります。毎月の返済額のうち、6250円を金利手数料としてクレジットカード会社に支払うということです。もし、毎月の支払いが2万円ほどで済んでいたとしたら、そのうちの1万3750円しか返済されていないということです。

金利手数料はこのようなものですから、利用できる枠があるからといって利用を続けていると、返しては借りるという状況になり、なかなか完済ができなくなってしまいます。まさに悪循環です。

これを避けるには、クレジットカードとの付き合い方を変えなくてはいけません。今はキャッシュレスがうたわれる時代ですので、カードを利用しない暮らし方は難しい場合もありますが、後払いにしないカードがいくつも登場しています。アプリで決済する仕組みも随分と広まりました。

相談者さんは手元のお金のやりくり自体には問題はないのですから、クレジットに頼っていた部分の見直しをして、そういった後払いにしないカードを選択して利用してもよいと思います。もし、不安であれば、貯蓄を無理しないで減額するとよいと思います。

海外でも重宝される「即時引き落としカード」

後払いにしないカードの代表として、以前から「デビットカード」があります。カードで決済をすると、銀行口座から即時引き落としされるのが特徴です。昔はJ-デビットといって、キャッシュカードがそのまま決済カードになったのですが、加盟店が少ないのが難点でした。

2006年ごろから、クレジットカード会社Visaの機能を持つデビットカードが登場し、Visa加盟店で利用できるようになりました。ついでJCBブランドのものも登場し、かなり幅広いお店で利用できます。カード大国であるアメリカでも、このデビットカードは「日常使いカード」としてかなり普及しています。

そのほか、チャージした分しか利用できないクレジットカードブランドが付いたプリペイドカード、決済アプリもあり、現金を持たずとも即時決済する手段が増えています。

クレジットカードは封印、貯蓄減を覚悟して改善を

相談者さんは貯蓄を減らしたくない思いでクレジットカードを使ってきましたが、これが悪循環であることはご理解いただけたと思います。

そうであれば、クレジットカードの利用残高を増やすことはやめ、カード決済を利用するのなら即時決済カードに変えていきましょう。今まで先送りにしてきた支払いと、いつも支払ってきた金額がダブルでかかってくるので、支払いが大変になると思いますが、改善できるまでは貯蓄を頼って支払っていくしかないと思います。分割で支払うと金利手数料がかかり、もったいないと感じてくれるのであれば、貯蓄からの一括返済をおすすめします。

そして、クレジットカードに頼って買い物をしてきた部分を見直し、1ヵ月の収入の中で支出を収められるように調整していきましょう。

貯蓄を使ってクレジットカードの返済をしてしまったら、貯蓄の回復を一刻も早くと思ってしまうかもしれませんが、そこは慌ててはいけません。むしろ、毎月の貯蓄額を10万円前後に減らし、支払いを先送りしなくても、安定して貯めていける状況を作りたいものです。

クレジットカードは便利ですし、社会にはなくてはならないものだと思いますが、使い方を間違ってしまう人というのは結構な数いらっしゃいます。もし、自分がうまく使えていない、返済しても利用残高が減っていないと感じることがあれば、一度利用をやめ、残高をリセットしてみるのもよいと思います。その間に自分がどのようにカードと付き合っていくとよいのかも考えてみるといいでしょう。

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