3月末に本格販売をスタートすると、ネットを中心に「スーツに見える作業着」として話題を呼び、翌4月には売上目標の5倍を達成したという「ワークウェアスーツ(WWS)」。2018年のアパレル業界を代表するヒット商品の1つが、年末のこの時期、新たな展開へと動き始めました。

その新展開とは、こちらも今年のアパレル業界で大きな話題となった、月額定額レンタルサービス。音楽配信などで増えているサブスクリプション(継続従量課金)モデルによってビジネスウェアを提供するサービスで、これまでにAOKIやレナウンなどが相次いで参戦しています。

業界大手がしのぎを削る過熱市場で、WWSに勝ち目はあるのでしょうか。「スーツ作業着」のサブスク戦略に迫ります。


2つの料金プランで毎月変更可能

オアシススタイルウェアが12月10日から開始する、WWSの月額レンタルサービス。プランは、スタンダードモデルの商品が対象となっている「ベーシックプラン」と、11月に発売したデザイナーズモデル「YZO」も対象に含まれる「プレミアムプラン」の2種類となっています。

レンタル料金は、ベーシックプランでスーツ1着(ジャケット、パンツ各1着)だと月額3,000円(税抜き)、スーツ2着(ジャケット、パンツ各2着)だと同5,000円。プレミアムプランでは、スーツ1着で同5,000円、2着で同8,000円という設定です。

両プランに共通する特徴として、契約着数は毎月変更することが可能。破れや型崩れ、色あせなどがあった場合は無償で交換してくれます。また、サイズやカラーの変更にも対応しており、レンタル期間終了後には買い取ることもできます(着用期間に応じて割引あり)。返送時の送料はオアシスが負担します。

WWSは、スーツのような見た目ながら、水道工事の作業員の声を反映し、撥水性や防水性、ストレッチ性など、高い機能性を有しているのが特徴。昨今、アパレル業界ではビジネスウェアの高機能化が進んでいますが、WWSは同業他社とは真逆のアプローチで、作業服の機能性をスーツに持ち込んだことがヒットの一因となりました。

WWSがサブスク事業に参戦したワケ

それにしても、冒頭でも触れたように、ビジネスウェアのサブスクリプション市場は業界大手が相次いで参戦し、シェア獲得競争が激化しています。このタイミングで参戦するオアシスは、どのような差別化戦略を描いているのでしょうか。

実は、同業他社の多くが個人向け中心のビジネス展開を進めていますが、WWSは法人向けのみの展開となります。

3月の販売開始以来、これまでに約50社の法人顧客が社員のユニフォームとしてWWSを導入してきました。その中から「季節によって、春夏ものと秋冬ものが交換できると助かる」という声が上がってきたそうです。

また、建設業や清掃業の導入検討客の中には、季節的な人員数の変動があるので、どのくらい購入するべきか、悩む企業も少なくなかったといいます。「お試しで導入してみたい」という要望もありました。WWSは上下セットで購入すると3万円なので、月額レンタルであれば、その10分の1の料金で試すことができます。

ほかにも、作業員と営業員が同じオフィス内に在籍している法人検討客では、「作業員には作業着が支給されるのに、営業にはスーツが支給されない」という不満の声があったそうです。こうした企業には、営業員のユニフォームとしてWWSをレンタルすれば非課税で支給できるというメリットもあるといいます。

一方で、WWSは発売当初から想定以上の売り上げで推移し、一部商品に欠品が生じていました。こうした事態に対応するため、提携先の生産工場を増やしていき、ここに来てようやく生産体制が整ってきました。

これらの事情が重なり、満を持してWWSの月額レンタルサービスを始めるに至ったというわけです。

料金設計に込めた狙い

とはいえ、購入時の10分の1でレンタルできるといっても、10ヵ月以上レンタルすることになれば、購入してしまったほうが割安な価格設定になっています。

この点についてオアシススタイルウェアの中村有沙代表に聞くと、あくまでも“お試し”で、いろいろな人にWWSを知ってもらうのが最初の目標、とのこと。「商品には自信がありますが、導入のところで値段が高いと躊躇する企業も多い。まずはハードルを低くして、試してもらいたいという気持ちが強いです」(同)。

一方で、「同業他社の動向を見ていると、個人向けで苦戦しているところも多い。オアシスは当面、法人向けのみで、個人向けは考えていません」と、中村代表は明かします。

WWSは発売から半年で、年間の売上目標だった1億円をクリア。来期は、1年目の3倍にあたる3億円の売り上げを目標に掲げます。2年目の攻勢加速に向けた布石の1つが、今回のサブスクリプションモデルの導入というわけです。

ほかにも、スーツの需要が急増する2~3月に、期間限定のリアル店舗を出すことも検討しています。現状はネット通販のみの展開であるため、「実物を見てみたい」という要望が多く、そうした声に応えたい考えです。

生産体制の構築がようやく完了し、飛躍に向けた態勢を整えたWWS。顧客の裾野拡大に向け、月額レンタル事業が背負う期待は大きいものになりそうです。

(文:編集部 猪澤顕明)