はじめに

2018年の日経平均は、バブル崩壊後の最高値圏の記録を複数回更新しました。一方で、足元では高値を追うような動きが一服し、方向感が乏しい中、下値をわずかに切り上げながら推移するレンジ相場となっています。

米中の貿易に懸念が生じていること等も相まって、米国株も方向感を欠き、全体的に不安定な相場となっているように思えます。このように、はっきりしない相場では、ほかの投資家が総じてどのような取引を行っているかを確認することが、投資判断の助けとなる場合があります。

日本取引所グループが公表している「投資部門別売買状況」のデータを利用すると、投資家の種類に応じた日本株式の売買状況を確認することができます。今回はこのデータを使って、実際にどのような取引を誰が行っているかについて、仮説を交えながら検討してみます。


日本の株式市場にはどんなプレイヤーがいる?

日本の株式市場では、国内の個人投資家だけでなく、海外投資家や法人(主に金融機関や事業会社)等が取引を行っています。中でも、ヘッジファンド、政府系投資ファンド(ソブリン・ウェルス・ファンド)など大規模な投資家で構成される海外投資家の売買シェアは、6〜7割にも上ります。

最新の2018年11月分月次資料では、67.7%の取引が海外投資家によるものであると記されており、マーケットに与えるインパクトの大きさが伺えます。

投資部門別売買状況を見れば、現在、どのような投資家が買い越しているか、売り越しているかを把握できます。今回紹介する具体的な投資部門は、「自己取引」(機関投資家との相対売買含む)、「法人」、「個人」、「海外投資家」の4種類です。

投資家別の傾向とは?

まず、「自己取引」とは国内の証券会社自身が取引した金額を表しています。こちらは、自己資金で取引したり、機関投資家の取引を執行したりする投資部門であるため、ファンドが多くを占める海外投資家と行動がよく似ています。具体的には、「証券自己取引」と「海外投資家」は“順張り”で買い上がり、下落相場の時は売り下がる、という傾向があります。

一方で、その逆の動きを見せるのが、「個人」と「法人」です。法人は、投資信託や事業会社が含まれますが、その中でも信託銀行が大きな割合を占めています。信託銀行は年金資金を運用する主体でもあり、基本的にはリスクを抑えて、なるべく合理的な取引をすることを心がけています。

原則として信託銀行は、高値を追う・安値を叩くということを避け、高値つかみ・安値売りをしないよう心がけています。反対に、株価が安くなると買いを入れる傾向があります。日本の個人投資家もこのような“逆張り”型の投資を行っており、上昇局面では売り上がり、下落局面では買い下がるという傾向にあります。

では、日経平均株価と部門別の売買動向を比較して、今年の相場の立役者にはどのような投資主体が挙げられるかを見ていきましょう。

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