はじめに

フランスでは12月8日、パリをはじめとする全国各地の都市で約12万5,000人が参加したデモが行われました。大規模な抗議行動はこれで4週連続です。

デモは当初、燃料税の引き上げに異を唱えるのが目的で行われていました。しかし、今では「反政権」の色合いを濃くしています。参加した人の多くがデモの象徴とされる「黄色いベスト(ジレ・ジョーヌ)」を身にまとっており、パリでのジレ・ジョーヌと警官の衝突などがフランスのテレビで繰り返し放映されました。

フランスのメディアは「ジレ・ジョーヌの危機」などと報道。8日にはパリで暴徒と化したデモ隊の一部が商店のショーウィンドウを割ったり、略奪を働いたりするなど、抗議行動が激化。政府に動員された治安維持隊が催涙ガスや放水で、デモ隊の投石などに応酬しました。

デモの参加者すべてが過激な行動へ走ったわけではなく、テレビでは治安維持隊と話し込む人の姿なども映しだされていました。それでも、全国で計2,000人近くが取り調べを受け、1,300人余りが身柄を拘束されました。デモ隊と警官の双方に合わせて約130人のケガ人も出ています。

経済のグローバル化が進む中、こうした事態は日本にとっても他人事ではありません。なぜ、政権への抗議活動がここまで拡大しているのでしょうか。筆者が現地で接した複数の情報を元に、混沌のフランス情勢の根っこを掘り下げてみます。


主要都市で抗議行動が相次ぎ勃発

筆者が12日まで滞在していたフランス第2の都市・リヨンでは、デモが小規模にとどまりました。6日から9日にかけて毎年恒例のイベント、「光のフェスティバル」が開かれ、約180万人の観客がプロジェクション・マッピングの技術を駆使した光のショーなどを楽しみました。

2017年のマクロン政権発足時に内務相を務めたリヨンのジェラール・コロンヴ市長は11日の会見で、「(光のフェスティバルは)大成功を収めた」と満足げに語りました。しかし、現地のテレビ報道などに接していると、これはむしろ例外だった感があります。

パリだけでなく、マルセイユ、ボルドー、ナントなど各地で、ジレ・ジョーヌを着た参加者の数が膨れ上がりました。このうち、ワインで世界に広く名を知られるボルドーでも、デモ隊と警官の激しい衝突が起きています。

これを受けて、エマニュエル・マクロン大統領は10日夜8時、疲れた表情を浮かべながら「エリゼ宮(大統領官邸)」の一室に設置されたカメラの前で13分間、国民に語りかけました。大規模なデモが発生してから初めてテレビで演説を行い、対応策を公表したのです。


マクロン大統領のテレビ演説を1面で伝える高級紙「ル・モンド」

同国の日刊紙「ル・フィガロ」によると、2,300万人が大統領の演説を視聴したといいます。同国の人口は約6,700万人。実に3人に1人が見た計算です。

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