はじめに

被災地支援なのに他の自治体に寄付?

ここからは、ちょっと意外なふるさと納税の活用法をみることで、ふるさと納税の奥深さや、さらなる魅力をお伝えしていきたいと思います。

(1)災害代理寄附

冒頭でお伝えした通り、被災地支援の一つとして、ふるさと納税を活用する動きが今年は特に大きくなりました。その理由としては、ふるさと納税が全国的に浸透しており、インターネットで簡単に寄附ができる仕組みだからです。クレジットカードを使用できる場合も多く、決済も簡単です。

また、被災地では当然ながら自治体の職員も被災していますので、被災直後は寄附を受けられる状態ではありません。そこで、他の自治体が、被災地の代わりにふるさと納税の仕組みを使って寄附を募り、被災地に確実に届けるということが行われるようになりました。茨城県境町は、この「災害代理寄附」にはじめて取り組み、熊本に約1億1千万円を届けました。

被災地支援の場合は、返礼品がないことがほとんどです。それでも寄附が集まるというのは、ふるさと納税を本来の意味での寄附として捉えているからにほかなりません。ふるさと納税は、“寄附する文化”を日本に根付かせていくきっかけとなりつつあります。

(2)本当の意味での「故郷(ふるさと)」を意識した返礼品

返礼品というと、モノのイメージが強いかもしれませんが、サービスの返礼品もあります。なかでも、「故郷(ふるさと)」を意識した返礼品として、次のようなサービスがたくさん出てきています。

・空き家の管理、見守りサービス
・墓石清掃サービス
・親孝行代行サービス、見守り訪問サービス
・実家の庭の草むしりサービスなど

故郷にいる両親になかなか会いに行けないという人は、故郷に寄附をすることで、親孝行の代行をしてもらうことができます。庭の草むしりなどは重労働になりますので、とても喜んでもらえるでしょう。本人が会いに行くことが一番いいとは思いますが、どうしても無理というときは、活用してみてはいかがでしょうか。

故郷に寄附をして、故郷でサービスを受けるというのは、ふるさと納税の趣旨にかなっています。他にどんなサービスがあるのか、みなさんもぜひ探してみてください。

このように、ふるさと納税はまだまだ活用の可能性を秘めています。「故郷(ふるさと)」とは自分にとって何なのか。寄附をするとはどういうことなのか。ふるさと納税をするなかで、一度立ち止まって考えてみていただければと思います。そうすることで、ここまで広がってきたふるさと納税を、皆さんの力でさらに有意義な制度に変えていくことができるのではないでしょうか。

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