はじめに
中学受験に関する数字を森上教育研究所の高橋真実さん(タカさん)と森上展安さん(モリさん)に解説いただく本連載。
年が明けるとあっという間に受験シーズンに突入。1月になると埼玉県、千葉県の入試がスタートします。本命が2月1日からスタートの東京、神奈川の中学校であっても「お試し受験」として腕試しをする小学生が多いのではないでしょうか。
受験が長期戦となることで、気になるのは受験校数。一体、どのくらいの学校に出願するのでしょうか?
今回の中学受験に関する数字…7校
お試し受験は大学受験並みの規模
<タカの目>(高橋真実)
年明け早々1月10日の埼玉県を皮切りに、首都圏の私立中学入試がスタートします。その後、1月20日の千葉県、2月1日の東京都、神奈川県と中学入試は続きます。そこで今回の数字は、平均的な出願校数です。
大手塾にヒアリングしたところ、およそ7校が平均的な出願校数でした。この中には、いわゆるお試し受験と言われるものも含まれます。
お試し受験とは、本番の受験前に、志望校以外の学校を受験して「腕試し」をするものです。お試し受験として代表的なのが、1月10日の埼玉県・栄東中学校、1月20日の千葉県・市川中学校の入試です。
栄東では約6,000人、市川では約2,800人の出願者があり、大学入試並みの規模の入試になっています。栄東、市川ともに高い大学進学実績を出していることも受験生を集める要因となっています。お試し受験的な位置づけで受験したお子さんが、都内の第一志望が不合格となって栄東に進学したというお話も聞きました。
湘南新宿ラインなどの交通網の発達が都内・近県からの通学を容易にしていることも、こうした決断を可能にしています。このほかにも、お正月後すぐに行われる地方校の首都圏入試をお試しとして受験する受験生も少なくありません。
出願校7校の中には午後入試が含まれるケースが多いようです。午後入試は2月1日、2日に多く、最近は、算数などの1教科のみの入試を行う学校も増えてきました。
多くの学校で入試は複数回行われており、第一、第二志望の学校を複数回出願、受験する受験生もいます。学校によっては、複数回受験すると、ボーダーラインに並んだ際に優遇するというルールを設けている学校も。
最近は早めの決着を望む家庭が多い
7校受けるなんて受験生も大変だな、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実際の受験校数は5校前後。初日に第一志望の学校を受験することが多いため、ここが合格になれば、あとの出願校を受験しないケースがあります。
また、最近は早めに決着させようとする傾向があり、東京・神奈川では2月3日ごろまでに進学先を決めるケースが多いため、実際の受験校数は少なめになっています。また、埼玉県、千葉県の私立中学の人気校が増え、県内の受験者は地元で結果を出すと、そのあと県外の学校を受験しないケースも徐々に増えています。
1校の受験料は2万5,000~3万円。仮に2万5,000円として7校出願すれば17万5,000円になります。志望順位が上の学校の合格発表が遅いと、それ以前に合格をもらって手続をした学校の入学金をあきらめなければならないこともあります。かく言う我が家も、たった1日の差で20万円をフイにしました。
万全を期して出願校を選んで受験するわけですが、何かと負担が大きいことにはため息が出ます。