年末が迫り、平成30年もカウントダウンの時期に入りました。そして、年を明けると、いよいよ平成もラストスパートです。この平成の30年間の消費で、一番大きく変わったことといえば、「若者がモノを買わなくなった」ことではないでしょうか。

平成が始まったのはバブル真っただ中。海外旅行へ行くたびにブランド物をどっさり買う若いOLやローンを組んで新車を買う新入社員の男性の姿なども目立ちました。それがバブル崩壊以降、失われた20年を経て、若者ほどモノを買わなくなっています。今の若者では、ブランド物やクルマを持つことが必ずしもステイタスにはなりません。

若者はなぜモノを買わなくなったのでしょうか。この30年で若者の価値観はどのように変わったのかみていきましょう。


平成はモノを買わない時代に

少し前から「モノが売れない時代」という言葉をよく耳にするようになりました。特に、若い世代ほどモノを買わないと言われます。しかし、この「モノが売れない」「モノを買わない」には、いくつかの要素が混ざっています。

まず、ひとつは「節約」です。よく世間では「若者はお金がないからモノを買わない」と言われるように、若者がモノを買わない理由は主に「節約」で理解されてきました。つまり、「お金を使わずに貯める」ために「モノを買わない」ということです。

確かに、長らく続いた景気低迷の中で、若者の経済環境は厳しくなっています。新卒の内定率は足元では改善していますが、バブル期と比べれば、派遣社員や契約社員などの非正規の職に就いて不安定な立場で働く若者は増えています。また、正社員であっても、これまでのように年齢とともに年収が上がるわけではありません。最近では特に子育てで出費のかさむ40歳前後で年収が伸びなくなっています。さらに、少子高齢化が進む中で、年金などの社会保障制度への不安を感じる方も多いでしょう。このような中で、モノを買わずに節約することは、ごく自然な行動と言えます。

お金を使わなくてもすむ社会

一方で、「モノを買わない」のは「お金を使わなくてもすむ」からという見方もできます。今の30代以下の世代は消費社会の成熟化やデフレの恩恵を受けて、お金を使わなくても、ひと昔前より質の高い消費生活を送れるようになっています。

例えば、ファッション。今の30代以下では中高生くらいの時期にファストファッションが普及しています。消費の楽しさを知る時期に、お金を使わなくても良いモノがある、お金を使わなくても流行を楽しめるという価値観が醸成されています。

これは、ファッションだけではありません。ファストフードを見ても、今はハンバーガーや牛丼、うどんだけでなく、おしゃれで割安なカフェもありますし、5年前には牛丼の吉野家が500円ピザもはじめました。今は500円もあれば、色々な種類の美味しいものが食べられる時代です。

このほか、旅行では格安航空券やLCCが普及しましたし、家電製品も大幅に安くなり、数十万した大型液晶テレビが現在では数万円で買えます。今はお金を使わなくても消費生活を楽しめる時代なのです。

さらに、平成の大きな変化と言えば、情報通信分野の技術革新があります。30年前の携帯電話はショルダーフォンと呼ばれるもので、重さが3kgほどあるショルダーバッグのような本体を肩からかけて、レシーバー部分を手に持って通話していました。

一方で、30年後の現在はスマートフォンへ進化しています。手のひらサイズの小さな端末が1台あれば、映像で通話もできますし、ネットもできます。SNSも動画もゲームも楽しめますし、電子マネー決済もできます。世帯あたりの消費支出に占める通信料は増えていますが、利用できるサービスは10年前、20年前と比べものにならないくらい質が上がっています。また、ネット上の膨大な情報は無料で見ることができますし、便利な無料アプリもあふれています。