はじめに
お金を使う先が変わった
「モノを買わない」のは、「モノ」ではなく「サービス(コト)」にお金を使うようになったこともあるでしょう。総務省「家計調査」によると、総世帯の消費支出はじわじわと減っていますが、その中で、通信や保険医療などのサービスは増えています。(図表2)
(注)2002年の支出額を100として指数化したもの
(資料)総務省「家計調査」より作成
特に、通信は2002年を100とすると2017年は117.5へと2割程度伸びています。一方で、被服及び履物は大きく減っています。2002年100に対して、2017年では71.1へと3割程度も低下しています。
2016年の楽天ヒット市場番付には「インスタ映え消費」というキーワードがありましたが、SNSに映える写真が撮れることが消費の大きなきっかけになっています。
例えば、ハロウィンイベント。渋谷で軽トラックが横転した騒動は記憶に新しいと思いますが、渋谷には毎年、大勢が仮装をして集結します。また、ハロウィンは若者だけでなく、家族で楽しむイベントにもなっています。町内会や地域のイベント、保育園や幼稚園などの催しで、当然のようにハロウィンイベントが開催されている地域が増えています。ハロウィンで仮装するための衣装や子どもに配るお菓子などを概算すると、約1,240億円という試算もあるようです(一般社団法人日本記念日協会)。
これからの消費
平成を振り返り、若者が「モノを買わなくなった」理由を見てきたわけですが、これからはどうなるのでしょうか。
まず、ひとつ言えるのは、お金を出して買いたいモノとお金を出したくないモノのメリハリがさらに強くなる、ということです。
これは、今、シェアリング・サービスなどをよく利用する消費者の傾向として見えていることでもあります。こういったメリハリが様々な商品領域に広がっていくでしょう。
カーシェアだけでなく、スーツや子どものおもちゃもシェア(レンタル)するなど、新品を買って自分のモノにすることが常識だったモノにも、ますます合理性を重視した判断が広がるでしょう。モノの所有から利用へという流れが進む中で、現在でも、企業が消費者に対して定額でモノやサービスを売る「サブスクリプション・サービス」が増えていますが、積極的に買いたいわけではないけれど、割安なら使ってみたいという商品に丁度良い仕組みです。
さらに、メリハリは、お金を出す・出さないだけでなく、こだわって選びたい・選ばなくてもいい選択の面でも強く出るようになるのではないでしょうか。
例えば、女性のファッションについて見ると、こだわって選びたい気持ちがありながらも、ファストファッションからネットのプチプラ通販サイト、韓国の通販サイトなどもあわせると膨大な量があります。
また、家電製品についても、日本国内のメーカーだけでも多くの製品がある上、韓国や中国などの海外製品も増えています。よほど家電に詳しい方でなければ、エアコン1つ選ぶにも労力がかかりそうです。
モノや情報があふれる中で、自分の趣味嗜好や暮らし方に基づいてリコメンドしてくれる機能、自分の好みと上手く合うマッチング機能の高いシェアリング・サービス、あるいは、モノを買う時のコンシェルジュ・サービスなど、「モノを選ぶ」ことをサポートするサービスは、これからますます求められるのではないでしょうか。