はじめに
受け取り方は主に2通り、一括受取と年金受取
年金保険と名前がついていますが、受け取り方については年金受け取り以外に一括で受け取る2つの方法があります。まとまったお金が必要であれば一括で、すぐに大きなお金が必要でなければ年金受け取りにすることで受け取り中にも運用が続くことになります。ちなみに筆者の確定年金は、一括受け取りの場合には約480万円です。
受け取り方で課税ルールが異なるため、税金も考慮した手取り金額を検討することも確認ポイントです。
受け取り方でかかる税金は異なる
所得税を計算するには、所得を10種類に分けるというルールがあります。そのルールに従うと、個人年金保険の受け取り方は、一括か年金かで所得の種類が違ってきます。詳しくは以下の表をご覧ください。
筆者の加入している確定年金を例にみてみましょう。
一括受取の場合
一時所得の課税所得=【480万円(60歳での受取保険金額)—240万円(総支払保険料)—50万円(特別控除)】×1/2(※)=95万円
(※)課税金額は、一時所得の金額×1/2
60歳時点で他の収入がない場合、所得税率は5%で95万円×5%=4万7,000円の所得税がかかります。
年金受取の場合
雑所得=60万円—24万円(必要経費)=36万円
60歳以降、他の収入がない場合、所得税率は5%になり、36万円×5%=1万8,000円(1年間の所得税)です。65歳以降は公的年金の収入があるため、税金を計算する時に加えます。公的年金は同じく雑所得となり、公的年金控除を引いた上で課税所得を計算します。
筆者の場合、公的年金は年間86万円で、公的年金控除を引くと雑所得の合計は以下の通り計算します。
雑所得の合計は一括受け取りと変わらず36万円です。結果として一括受け取りの時と税額は同じとなりました。ただし、筆者の場合は厚生年金の加入期間は94ヶ月(約8年)です。
「会社員の期間が長く厚生年金の額が多い」、「iDeCoの年金受け取りや他の収入がある」、そのような場合は課税所得が多くなり、所得税の税率が高くなる可能性があります。
そうなると、納税額が一括受け取りと比べて多くなることもあり得ますので、収入とライフプラン全体から受け取り方法を考えることをオススメします。
保険料の負担者と受取人が違う場合には注意!
今までお話ししてきた個人年金保険は、保険料の負担者と年金受取人は同じと想定していますが、異なる場合には注意が必要です。たとえば、夫が契約者で妻が受け取る場合には贈与税の対象となります。通常、贈与税については所得税の課税金額より高くなると言われていますので、別途計算しておきましょう。
また、少しでも税金を少なくするために、保険料の負担者と年金受取人を同じ人に契約変更することもありです。その場合、契約変更以後については所得税の課税となりますが、それ以前については贈与税の対象です。
死亡したら保険金はどうなるの?
万が一、年金保険金受け取り中に亡くなった場合、以後の保険金はどうなるのでしょうか?
筆者が加入している確定年金では、支払額は「年金支払期間中の未払年金の現価」とあります。例えば1回目の年金支払を受けて2回目の年金支払の前に死亡した時には、夫である死亡保険金受取人が受け取る額は一括となり、約款で定められた乗率で計算することになります。
契約内容によっては年金の継続払いを請求することもできますが、契約当時の約款が手元にあった場合でも必ず保険会社に確認しておくことをオススメします。というのも約款上に記載されていたとしても、筆者のように28年前の契約については、全て本社に確認をしないと回答できないとのことでした。
約款に掲載の特約でも現在は取り扱わないと言われたものもあります。これは、約款上に記載してあることであっても、変更となっている可能性があると言わざるを得ません。
以上、お宝保険と言われる個人年金保険については、保険種類や受取方法、保険料の負担者と受取人、死亡した場合の保険金は受け取り前に確認しておきたいポイントです。貴重なお宝保険ですので、受取時にも失敗しないようにしましょう。
※2024年7月19日修正:「一括受取の場合」「年金受取の場合」の計算式に誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。