はじめに
日経新聞によると、ケーブルテレビ大手のジュピターテレコム(J:COM)が、「iPhone6s」の正規中古品の取り扱いを始めたそうだ。月額980円からサービスを展開するJ:COM MOBILEの選択肢としてiPhoneが新たに加わるというニュースである。
ビックカメラやLINEモバイル、楽天モバイルなど各社の参入で市場が広がっている格安SIMだが、「中古のiPhoneでも使えるのかどうかよくわからない」という消費者の声は少なくない。実際に、使えたり使えなかったりするし、後述するような思わぬ落とし穴もある。
正規中古品のiPhone流通開始が意味することはなにか? まとめてみたい。
「正規中古品」のiPhoneとは?
まず、iPhoneの正規中古品とはなにか? これはなんらの事情から中古となったiPhoneをアップル社が定めた管理基準に基づき専門業者が整備して販売するものだ。本体を整備したうえでバッテリーを交換し、充電器やケーブルなど備品もそろえ、アップル社の箱に詰め直して販売されるという。
この正規中古品、これまで日本ではMacやiPad、iPodなどに限定して整備済製品としてオンラインのアップルストアなどで販売されてきた。一方、海外ではiPhoneの正規中古品はずいぶん前から販売されており、新興国中心に根強い人気を誇っている。
日本国内にも、iPhoneの正規中古品として出回っている商品があるが、これはアジアの正規中古品業者から調達したものが日本で流通しているものと思われる。
今回のJ:COMがiPhoneの正規中古品を日本で販売するというニュースは、ふたつの意味で消費者にプラスになる。
ひとつは格安SIMユーザーが選べる端末の選択肢が広がるということ。そしてもうひとつは従来の中古iPhoneとは違った安心が得られるという点だ。順に説明していこう。
格安SIMをiPhoneで使うためには?
従来のキャリアに比べ、料金が抑えられるプランを持つ格安SIMを利用することで、スマホユーザーは月額の携帯利用料を安くすませることができる。ただしそれを人気のiPhoneでやろうとすると、SIMロックが解除された白ロムのiPhoneを入手する必要があった。
正攻法のやり方は、アップルストアで新品のiPhone本体を購入することだ。ただしその場合、iPhone SEの一番安いタイプでも価格は49,800円(税別)になる。これが消費者にはとても高く感じられる。
ドコモ、au、ソフトバンクの携帯キャリア3社と契約すれば(実質0円が禁止された後でも)携帯本体の値段のかなりの部分をキャリアが負担してくれていたため、iPhone本体が「高い」という意識はこれまであまり消費者にはなかった。
ところが格安SIM会社と契約を検討するとき、iPhone本体が高価な問題に消費者は直面することになる。
一方、iPhoneを中古で買うのであれば比較的安く済ませることもできる。中古市場で端末を探すと、SIMロックが解除された白ロムiPhoneの場合、iPhone6で4万円前後、iPhone5sなら2万円前後で手に入る。
しかし、これまで携帯3社が販売したiPhoneにはSIMロックがかかっていたので、それほど数が出回っていないことが問題になる。