はじめに
読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。今回は伊藤英佑氏がお答えします。
相続税(あるいは贈与税)について教えてください。私の父には、前妻との間にもうけた息子がおり、長年絶縁状態でした。しかし、最近になって、生活に困窮したのか、父を頼りにして連絡がくるようになりました。現在のところ突っぱねているのですが、父は「自分が死んだときにその息子に財産が渡るのが嫌だ」と言っており、全資産を今の妻(=私の母)、あるいは私に譲りたいと考えているようです。全資産といっても、時価1000万円程度の持家と数百万円程度の現預金なので大きな金額ではないですが……。 資産が一切渡らないようにするためには、どのような手順を踏むのが最適でしょうか。生々しい話で大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
〈相談者プロフィール〉
・男性、20代後半、独身
伊藤: ご質問ありがとうございます。父親が前妻との間にもうけた子どもに父親の相続財産が渡らないようにするにはどういう方法が考えられるか、ご質問者の立場と意向から考えてみます。
前妻の子どもには法定相続権がある
まず、前妻の子どもには法定相続権があります。仮に、父親の現家族の法定相続人が母親と子だけだとすると、父親の財産への相続権は、あくまで子どもの権利となるため、母親が前妻か今の妻かにかかわらず、母親1/2、ご質問者(子ども)1/4、前妻の子1/4となり、前妻の子は相続権を有します。
相続での財産分けは、遺産分割協議を法定相続人全員の合意でもって行わなければならないため、現状で何もしない場合、父親やご質問者が何を言おうと、前妻の子どもが自ら「相続財産はいらない」と合意してもらえない限り、前妻の子どもは相続財産を得ることになります。
ここでは、前妻の子どもが法定相続分の財産を得ることを主張してくるだろうとして方策を考えます。