はじめに

2018年はつみたてNISA元年でした。投資の利益にかかる約20%の税金をゼロにできるつみたてNISAは、投資の経験がなくても、投資の王道といわれる「長期・分散・積立投資」を有利にスタートできる制度です。これを機に投資を始めた方も多いことでしょう。

2018年12月に発表された金融庁「NISA口座の利用状況調査(平成30年9月末時点)」によると、つみたてNISAの口座数は87万5658口座。本稿執筆時点ではまだわかりませんが、もしかしたら12月末までで100万口座を突破しているかもしれません。

しかし、2018年は市場が低調でした。特に年末以降、2019年に入っても相場が荒れています。始めたばかりの初心者の方はオロオロして、こんなことを思っているかもしれません。

「つみたてNISA、このまま続けていていいのだろうか?」

今回は、こんな疑問にお答えしたいと思います。


つみたてNISAスタートから1年、儲かっている投信は?

少し詳しく、つみたてNISAの投資先の状況を見てみましょう。

2019年1月25日現在、つみたてNISAで投資できる投資信託・ETF(以下「投信」とします)は162本あります。投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」を使って、つみたてNISAで投資できる投信の成績をいくつかチェックしました。

なお、チェックには1年騰落率という割合を使用しました。これは、過去1年間の投信の値動きを示す割合です。1年前より値上がりしていればプラス、値下がりしていればマイナスとなります。

以下、データは2019年1月22日のものですので、厳密にはつみたてNISAスタート時からの騰落率ではありません。しかし、それほど大きな違いはありませんので、このまま利用したいと思います。

純資産総額が大きい投信は?

純資産総額は、投信が運用している資産の合計額。多いほどいい、とは限りませんが、多いほどお金を集めている、とはいえます。ここでは、純資産総額の多い投信と、その1年騰落率を紹介します。

投信名 純資産総額 1年騰落率
ダイワ上場投信-トピックス 3兆9764億円 -15.12%
ダイワ上場投信-日経225 2兆5733億円 -11.19%
ひふみプラス 5639億円 -20.05%

上2つはそれぞれトピックス・日経平均株価という株価指数に連動するETFです。しかし、それですら、1年騰落率は-15%、-11%とふるいません。国内の株式に投資するひふみプラスも、1年前に1万円分買ったとしたら、今8000円になっている計算です。

信託報酬の安い投信は?

信託報酬は、投信を持っている間少しずつ引かれていく手数料です。年率で表示されています。ほんの少しの違いでも、長期間保有していると大きな違いになるため、なるべく少ない方が運用に有利だと考えられます。信託報酬の安い投信と、その1年騰落率を見てみましょう。

投信名 信託報酬 1年騰落率
SBI・新興国株式インデックス・ファンド 0.06% -15.10%
SBI・先進国株式インデックス・ファンド 0.075% -8.94%
JP4資産均等バランス 0.0975% -5.75%

つみたてNISAで投資できる投信のうち、信託報酬が0.1%未満のものはこの3本だけです。しかし、運用に有利と考えられる投信ですら、1年騰落率はマイナスでした。

1年騰落率が高い投信は?

何となくマイナスって、いい気分ではないですよね。果たして、1年騰落率がプラスになっている投信はあるのでしょうか?
残念ながら、1年騰落率で見ると、つみたてNISAの投信はすべてマイナスでした。

あえて言うなら、この3本はさまざまな資産に投資するバランス型。分散投資がリスクを減らすのに効果的だということがわかるでしょう。

投信名 1年騰落率
ニッセイ・インデックスパッケージ
(国内・株式/リート/債券)
-0.44%
東京海上・円資産インデックスバランスファンド -0.57%
たわらノーロード バランス(堅実型) -1.26%

とはいえ、2018年1月からつみたてNISAを始めた方の成績は、ほとんどマイナスになっていると考えられます。ですから、冒頭で紹介したとおり「つみたてNISA、このまま続けていていいのだろうか?」と思ってしまうのも、無理はありません。

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