はじめに

夫婦共働きの世帯では、子どもの扶養をどちらにするのか?悩まれる方も多いかと思います。

お互いの年収バランスが変わったり、国や企業の制度も年々変化したり、過去の選択が必ずしも現状のベストとは限らないこともあるでしょう。

今回は子どもを扶養に入れるときに押さえておきたいポイントについてお話しします。


扶養って何?

子どもの扶養については基本的に「税制上の扶養」「社会保険上の扶養」を考える必要があります。税制上の扶養に入れることで親の所得税額や住民税額を抑えることができます。

また、会社員や公務員の場合、社会保険上の扶養に入れることで子どもの健康保険料を支払うことなく健康保険に加入することが可能となります。

夫婦の年収や加入する健康保険制度が異なる場合、どちらの扶養にするとメリットがあるのか? 税制上の扶養と社会保険上の扶養については、自分たちにとって有利な方法で申請することが可能ですが、なんとなく夫の扶養に入れている人も多いのではないでしょうか?

住民税の課税ラインには16歳未満の子どもがカウントされる

少しややこしいのですが、住民税の税額を計算するときに16歳未満の子どもについてはカウントされないのですが、そもそも住民税がかかるかかからないかの判断に関しては、16歳未満の子どもがカウントされます。

住民税の課税ラインは市町村によって違い、大体100万円を超えると課税されることになります。

たとえば、東京都に居住する年収600万円の45歳夫と年収200万円の40歳妻、小学生の子ども2人の4人家族の場合、子ども2人を妻の扶養に入れることで妻の住民税がゼロになる可能性があります。

子ども2人を夫の扶養に入れた場合、妻の住民税は約6万4,000円となるため、あえて妻の扶養に入れる節税メリットは高いと言えます。住民税の計算については、居住地の住民担当課で確認することができます。

児童手当は「年収が高い親」への支給がルール

児童手当は中学校卒業までの子どもを養育している人に対して、居住している市町村から支給される手当です。

支給額は、年齢と算定対象児童の人数に応じて一人につき1万円か1万5,000円です。所得の高い方に支給されるルールがあり、扶養親族等の数に応じて所得制限があります。

扶養親族等とは、前年12月31日時点での税法上の控除対象配偶者と扶養親族です。

たとえば5歳の子どもがいる3人家族の場合、夫婦共働きで妻が扶養範囲を超えているときには、扶養親族等の人数は1人(子どものみ)です。

所得額660万円・年収875.6万円を超えるときには、特例給付となり1人につき月額5,000円へ減額支給になります。

また、扶養親族に祖父母がいる場合などは、所得制限額への加算があるので、子育て支援課など居住地の役所担当窓口に加算額を確認しましょう。

支給を受けるためには申請手続きが必要です。引っ越しなどで申請が遅れた場合、遡っての支給を受けることができないため注意が必要です。

児童手当 所得制限限度額表

扶養親族等の数 所得額 収入額
0人 622万円 833.3万円
1人 660万円 875.6万円
2人 698万円 917.8万円
3人 736万円 960万円
4人 774万円 1,002.1万円
5人 812万円 1,042.1万円

内閣府(児童手当Q&A)を参考に執筆者作成

なお、前述の年収200万円の妻が子どもを扶養に入れて住民税を非課税にする場合、児童手当の所得制限限度額を計算する際に夫の扶養親族にカウントすることはできません。夫の収入が所得制限の限度額ギリギリの場合には、夫の扶養に入れる方がいいこともあるためよく検討しましょう。

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