はじめに
今どきの保活の深刻さ
今どきの保活の大変さにフォーカスしてみると、深刻だと感じるポイントが少なくとも3つあります。まずは、これまで見てきたように希望の施設に預けることが難しい点。仮に他の施設に預けられたとしても、兄弟姉妹で別々になってしまったり、保育施設の方針が合わなかったり、高額で採算があわなかったりと、不安やストレスのタネになりかねません。
次に、そもそもなぜ施設に預けようとするのか。フリーコメントには、以下のような声があります。「共働きをしなければ家計が成り立たない家庭も多い(30代:今は働いていない)」。今や共働き世帯の方が多く、その比率は年々上昇しています。中には収入のために働かざるを得ず、致し方なく希望に合わない施設でも子どもを預けている人もいます。
3点目は、子どもを諦めてしまうこと。「今の社会の保活も含め「大変そう」なことが、子どもを持つことを躊躇させています(30代:派遣社員)」という声もあるように、少子化が進んでいる日本社会において、保活がネックとなって子どもを諦めざるを得ないとしたら深刻な問題です。
希望する施設に全員が預けられる社会を
世の中には、そもそも保活などせず、子どもが小さいうちは家に一緒にいて自分で育てるべきだという考えの人もいます。保育に対する考え方は人それぞれですので、個々の考えが尊重されてしかるべきです。しかしながら、生活のために共働きせざるを得ないなど、致し方ない事情の家庭もあります。
希望する施設に半分も入ることができない保活の現状は、新たなストレスのタネとなり、少子化をさらに助長してしまう危険性があります。保活は小さなお子さんがいる女性だけに限られた問題などではなく、日本全体に関わる大きな問題に影響を及ぼす可能性があることを認識しておかなければなりません。
「幼児教育無償化よりも、保育園全入を保証してほしいです(30代:正社員)」という声もあります。政府は待機児童ゼロの期限を2020年度末に再設定しました。「#保育園に入りたい」「#保育園落ちた」といった切実な投稿が、この国から一日も早くなくなることを願います。