はじめに

知識があった方がいいとわかっていながら、手軽に学べる機会がないために苦手なままでいる人も多い、経済についての基本的な知識。

今回は、エッセイマンガでわかりやすく経済の面白さを気づかせてくれる『キミのお金はどこに消えるのか』(KADOKAWA)――通称『キミカネ』で話題の漫画家・井上純一さんに、お金にまつわるさまざまなお話を聞きました。「“国の借金”の本当の意味」「医療費が増えると日本はどうなるのか」……など経済を学ぶとわかる世の中の動きについて教えてもらいました。


経済学の基礎知識を、マンガでわかりやすく

図1
――中国人の奥さんとの結婚生活を描いたコミックエッセイ『中国嫁日記』の著者でもある井上純一さん。今回、マンガのテーマを、これまでとはガラリと変わる“経済”にしたのはなぜですか?

井上純一氏(以下同) :経済学での初歩的な知識を、世の中の人は意外なほど知らないので、それをマンガで伝えなければ……と思い、このテーマを選びました。たとえば、誰かがお金を借りることでお金の生まれる『信用創造』という仕組みがあるのですが、これは経済学では初歩的な内容。なのに、僕自身もマンガを描くことで初めて知りました。

本当は、マンガにするのは自分でなくてもよかったけれども、まだ誰もやっていない。なので、まずは僕が始めることにしました。

でも、いざ経済のことをどうやってマンガにしていいかとなったときに、最初は方法がわからなかった。でもある日、妻の月(ゆえ)さんが、「持っているお金が減るということは、その減っているお金は誰かが持っているはずだ」という面白いことを言いだしたんです。

そのとき、これはマンガになると思いました。二人の会話という形にすれば、マンガとして面白いし、みんなに伝えやすい。

――学生時代から、経済の勉強に苦手意識をもっていたのですが、マンガなのですいすい読むことができました。

このマンガの監修をしてくれた明治大学准教授の飯田泰之先生も、「マンガだとこんなに簡単に説明できるのか!」とビックリしていました。

同じ内容を活字でやったら、「●●というところにおいて、●●という理論があり、それはこの限定下の条件に置いてはこうなる」というように、状況を限定しないといけないわけです。

図3

でもマンガなら、もっと感覚的に「お金というのはこういうものである」ということを伝えることができる。そういう表現をするうえで、マンガほど素晴らしいものはありません。

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