はじめに
経済的に成長することは、他人の価値を認めて優しくなること
――あと、日本ではお金のことを日常的に話すのは、ちょっとためらわれる空気がありますね。たとえば、クリエイターがSNSでギャラについて話したりすると「お金のためにやってるなんて幻滅」なんて返信がつくのをよく見かけます。
不況が長引き過ぎたんだと思います。「金になるからマンガを書いてるんだぞ」と言うと、すぐに汚いと思われる。
でも、お金儲けするということは、みんながお金を払いたくなるような価値を生み出さなければいけないので、まずは自分以外の人の違う価値観を認めることからスタートしている。そして、そのうえで、よりたくさん、より真面目に働いたほうが、お金は儲けやすい。
だから、お金儲けをするということは、手を抜いたりズルをしたりというような汚いことではないと思うんです。経済的に成長するということは、優しくなることでもあります。
経済では、時として無から有が生まれる。それは相手を信用して、お金を貸したり借りたりするから。そこには心のやりとりみたいな部分があって、それがないと経済はどんどん縮小していくしかない。
この作品を描いていて、そう思うようになりました。少年漫画で言うならば、「信じる心が力になる!」ですね。
(中編は消費税増税で何がおこるのかについてのインタビューです。近日公開予定)
井上純一
1970年、宮崎県生まれ。TRPGデザイナー、イラストレーター、漫画家。玩具会社「銀十字社」代表取締役社長。著作に中国人妻との結婚生活をつづったコミックエッセイ『中国嫁日記』など。『キミのお金はどこに消えるのか』
少子高齢化、増税、終身雇用崩壊、弱者切り捨て…世の中不安なことばかり。ホントにこの国大丈夫か?それより自分の将来大丈夫か?と不安なあなた。日本は「当面」大丈夫!お金が回ればもっと大丈夫!笑いながら経済のキモがわかる、本邦初のエッセイコミック。