はじめに
ここ数年、さまざまな職場で深刻化している人手不足。アルバイトによる不適切動画の撮影・公開が相次いでいる背景にも、この深刻な人手不足に伴うバイト人員の質の低下やバイト教育の不徹底を指摘する声があります。
他方、こうした人手不足を受けて活況を呈しているのが転職マーケットです。求職者にとって有利な“売り手市場”が続いており、パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」がまとめた最新のレポートでも、転職求人倍率は高水準をキープしています。
しかし、パーソルキャリアは同じレポートで「転職市場にやや変化がみられるようになってきた」とも指摘しています。中途採用のマーケットに、どんな変化が起きているのでしょうか。
転職求人倍率は高水準をキープ
パーソルキャリアが2月12日に公表した「doda 転職求人倍率レポート」によると、今年1月の転職求人倍率は2.13倍となりました。この数値は、dodaのエージェントサービス登録者(転職希望者)1人に対して、中途採用の求人が何件あるかを示したもので、求人数を転職希望者数で割って算出しています。
つまり、1月の時点では、1人の転職希望者に対して、2件以上の求人があるというわけです。前月に比べると0.36ポイントのマイナスですが、それでも高い水準であることに変わりはないようです。
業種別の求人倍率では、「IT・通信」が5.63倍でトップ。「サービス」が2.47倍、「メーカー」が1.84倍で、これに続きます。求人数の増加率では、「小売り・外食」が前月比8.9%増、「メディカル」が同2.6%増だった一方、「メディア」が同8.9%減、「IT・通信」が同7.0%減となりました。
職種別の求人倍率では、「技術系(IT・通信)」が7.65倍、「専門職」が6.61倍と、全体を牽引。求人数の増加率では、「技術系(化学・食品)」が前月比8.5%増、「技術(メディカル)」が同7.0%増だったのに対し、「技術系(IT・通信)」が同5.4%減、「クリエイティブ系」が同4.6%減でした。
全体としてはまだら模様ながら、依然として企業の中途採用に対する意欲は旺盛にみえる結果となりました。しかし、dodaの大浦征也編集長は「転職者優位の売り手市場にやや変化がみられるようになってきました」とも指摘します。